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統合失調症の認知機能を回復 理研がモデルマウスで成功

掲載日:2017年3月2日

統合失調症のモデルマウスを作製して症状の一つであるマウスの認知機能障害を回復させることに成功した、と理化学研究所(理研)などの研究グループが1日発表した。研究成果は2月28日付の英科学誌に掲載された。

研究グループによると、統合失調症は約100人に1人の割合で発症する一般的な精神疾患。主な症状として幻聴や妄想などの「陽性症状」、意欲の低下、感情の平板化などの「陰性症状」、さらに記憶力、注意力、情報処理能力などが低下する「認知機能障害」がある。 また発症には、脳の深部に存在する、神経伝達物質グルタミン酸の受容体(NMDA受容体)の機能低下が関わっているとされていたが、そのメカニズムは不明だった。これまでの治療薬は、陽性症状の治療には有効だったが、陰性症状や認知機能障害に対しては十分な治療効果が得られなかった。さらに治療法研究に必要な統合失調症のモデル動物もなかった。

理研脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チームの糸原重美(いとはら しげよし)チームリーダーと筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構、東京大学大学院農学生命科学研究科などの研究者で構成される共同研究グループは、NMDA受容体の機能が生まれつき低下している遺伝子改変マウスを作製し、その改変マウスが統合失調症症状を示すモデルマウスとして使えることを確認した。

研究グループは次に、このモデルマウスに対してNMDA受容体機能を正常にする遺伝子治療を実施。治療したマウスの行動を調べる実験をしたところ、そのマウスが認知機能を取り戻したことを確認できたという。

これらのことから研究グループは、NMDA受容体の機能を回復させることが統合失調症の治療改善につながる可能性があることが明らかになった、としている。

写真 左は正常なマウス、右は統合失調症モデルマウス(変異マウス)の脳の一部組織。モデルマウスはNMDA受容体の必須サブユニットNR1発現が低下している(写真・理研などの研究グループ提供)
写真 左は正常なマウス、右は統合失調症モデルマウス(変異マウス)の脳の一部組織。モデルマウスはNMDA受容体の必須サブユニットNR1発現が低下している(写真・理研などの研究グループ提供)
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