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活断層のリスク評価を4段階で表記 30年以内発生確率で見直し

2016.08.22

 政府の地震調査研究推進本部は19日に政策委員会を開き、これまでの活断層の長期評価方法を見直してリスクに応じて4段階で表示する案を正式に決めた。これまでは30年以内の発生確率を数値で示していたが「30年という長い期間でのリスクをパーセントで言われても分かりにくい」との指摘が出ていた。

 新しい表示は、30年以内に大地震が起きるリスクを「Sランク(高い)」「Aランク(やや高い)」「Zランク」「Xランク(不明)」の4段階に分けて公表する。「S」は30年以内の地震発生確率が3%以上、「A」は同0.1〜3%未満、「Z」は同0.1%未満、「X」は確率が不明で近く大地震が起きることも否定できないもの。

 これまでは、活断層が過去に動いた記録などから30年以内の発生確率を予測して、3%以上を「高い」、0.1〜3%未満を「やや高い」とし、それ以外は「表記なし」としてきた。しかし活断層は数千年の単位で動くものが多く、「30年」は地震学の時間軸では短く、確率の数値は小さくなるケースがほとんど。

 4月に発生した熊本地震についても、横にずれた布田川断層帯の一部「布田川区間」の発生確率は、「ほぼ0〜0.9%」で「やや高い」とされていたが、大きな被害を出した地震後に「正しく危機感が伝えられていない」「降水確率を見るように『起こらない確率』が高く見えてしまい安心情報につながる」などの指摘が地震後に出ていた。

 今回の見直しは内陸や沿岸部の活断層が対象で南海トラフなどの海溝型地震は発生間隔が活断層型より短いため確率の数値が大きいことなどから対象に含まれていない。

 活断層の長期評価は、阪神・淡路大震災(1995年1月)後に地震防災対策特別措置法が制定されたのを機に発足した政府の地震調査研究推進本部が実施。マグニチュード(M)7以上の大地震を起こす可能性があるとした全国の約100の活断層について「30年以内」「50年以内」といった期間での発生確率を評価し公表してきた。

写真 地震に伴い出現した熊本県・益城町下陳周辺の断層。国土地理院が小型無人飛行機「ドローン」で4月16日撮影(国土地理院提供)
写真 地震に伴い出現した熊本県・益城町下陳周辺の断層。国土地理院が小型無人飛行機「ドローン」で4月16日撮影(国土地理院提供)

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