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不妊となる着床不全はある遺伝子の発現量低下が原因 東京医科歯科大が解明

掲載日:2016年4月13日

ある特定の遺伝子が十分に発現しないと、不妊の原因となる胚の着床不全を起こすことを東京医科歯科大学の研究グループが明らかにした。研究成果がこのほど英科学誌に掲載された。体外受精の成功率向上や不妊治療法の進歩につながる成果と期待される。

研究グループによると、現在国内で27人に1人が体外受精によって誕生している。体外受精は、体外培養環境下で精子と卵子を受精させて、分裂を繰り返した受精卵(胚)を子宮に戻す胚移植のこと。2012 年時点で約30万人に胚移植が実施されているが成功率は30%で、着床率の改善が課題になっている。胚に問題がなくても妊娠が成立しない着床不全のケースも多いが、決定的な診断法、治療法はまだなく、子宮内膜に胚が着床するする詳しいメカニズムも分かっていない。

同大学大学院疾患モデル動物解析学分野の金井正美(かない まさみ)教授らの研究グループは、子宮内膜上皮などに発現する「Sox17」と呼ばれる遺伝子が着床不全に関係するのではないかと考えた。そこで父方と母方から受け継ぐ一対のSox17遺伝子のうち、片方の染色体で欠損させた変異(ヘテロ変異)マウスを作製。このマウスで実験したところ、排卵や受精、胚の形成や卵管や子宮形態などは正常だったが、着床数は顕著に少なかった。

これらの結果から研究グループは、Sox17遺伝子が胚の着床に重要な役割を担い、Sox17遺伝子の発現量が低下すると、つまりSox17遺伝子の遺伝子情報に基づいて作られるタンパク質が子宮内膜上皮で正常に合成されないと、胚は着床できなくなるとみられることが分かった、としている。

研究グループは、ヒトとマウスでは妊娠期間の長さが大きく異なるが、母体のホルモン制御や着床までの胚の成長プロセスは良く似ている、として今後も研究を続け、胚移植の着床率向上や不妊治療の研究に役立てたい考えだ。

図 胚が着床するイメージ図(東京医科歯科大学提供)
図 胚が着床するイメージ図(東京医科歯科大学提供)
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