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高温ガス炉利用の水素製造へ1歩前進 試験装置の試運転成功

掲載日:2016年3月22日

新しい水素製造法を目指す試験装置の試験運転に日本原子力研究開発機構が成功した。

同機構は、研究開発を進めている高温ガス炉に接続すると二酸化炭素(CO2)を排出しない新しい水素製造法の開発も狙っている。試験装置は、ヨウ素(I)と硫黄(S)を用いた三つの化学反応を組み合わせて水を分解する熱化学法ISプロセスと呼ばれる方式を採用している。硫酸(H2SO4)分解、ブンゼン反応、ヨウ化水素(HI)分解という三つの工程からなり、CO2を含む有害な副生物を排出せずに水から水素を作り出す循環型のシステムであるのも特徴だ。

950度という高温が利用できる高温ガス炉の長所を生かす水素製造法であるため、高温ガス炉の実用化が、実現の前提となっている。加えて技術的なポイントの一つが、温度、種類が異なり、かつ腐食性のある流体に耐える製造装置の開発。同機構はこれまでガラス製の試験装置で研究、開発を行ってきたが、三つの反応にそれぞれ耐え得る金属やセラミックスを用いた水素製造試験装置を製作し、2月中旬に8時間の試運転に成功した。

高温ガス炉は、水素製造のほか、化学・石油プラントなどへの熱供給源、低温排熱を利用した海水淡水化、地域暖房など発電以外の多様な熱利用が期待できる原子炉として、同機構が長年、研究開発を進めてきた。2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画で、「水素製造を含めた多様な産業利用が見込まれ、固有の安全性を有する高温ガス炉など、安全性の高度化に貢献する原子力技術の研究開発を国際協力の下で推進する」と記されているが、実用化の可能性ははっきりしないのが現状。

同機構は、今後、試運転で明らかになったヨウ素の析出防止対策などの改良を行い、本格運転を経て、同機構の高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた世界初の原子力による水素製造実証を目指す、としている。

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