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ニホンカワウソは日本固有の生き物だった DNA解析で判明

掲載日:2016年3月10日

2012年に絶滅種に指定されたニホンカワウソは日本で独自に進化した生き物であることがDNA解析で分かったと、東京農業大学と国立極地研究所の研究グループがこのほど発表した。これまではユーラシアカワウソ系統説と日本固有の系統説があったがはっきりしなかった。依然「生存説」もあるなど関心が高いニホンカワウソについての興味深い研究成果だ。

東京農大の佐々木剛(ささき たけし)教授、大学院生の和久大介(わく だいすけ)氏、極地研の瀬川高弘(せがわ たかひろ)特任助教らの研究グループは、1977年に高知県内で捕獲されたニホンカワウソの剥製からDNAを抽出して塩基配列を解析した。さらに中国や韓国、ロシアに生息するユーラシアカワウソのDNAの塩基配列も解析して双方の違いなどを比べた。

その結果、高知県内で捕獲されたニホンカワウソは、約127万年前にユーラシアカワウソから分かれ、その後日本で進化した固有の系統と判明した。一方、神奈川県で捕獲された別のカワウソの毛皮や剥製から採取したDNAの解析では、ユーラシアカワウソの系統の一部との結果が出た。

これらのことから研究グループは、ニホンカワウソは、日本で長い期間に独自に進化した固有の種のほか、約10万年前にユーラシアカワウソから分岐した種も混在していた時期がある可能性があるとしている。絶滅した生物の剥製のDNAは長い年月を経て変性しているために解析が難しかったが、研究グループはばらばらになったDNAを読み取る最新技術を駆使して今回の成果につなげたという。

ニホンカワウソはイタチ科で、大きいと体長1メートル、体重10キロもあったという。魚やエビを好み、かつては国内の河川や沿岸部に多数生息していたが、明治時代以降、毛皮利用のための乱獲や水質汚染などが原因で姿を消し始めた。1964年に天然記念物に、翌65年に特別天然記念物に指定されたが、その後も減り続け、信頼できる目撃情報は79年の高知県須崎市内でのものが最後。このため環境省は2012年8月、「30年以上存在が確認できず絶滅したと考えられる」として絶滅種に指定した。しかし、その後も「ニホンカワウソらしき動物を目撃した」「足跡を発見した」などの情報が何度も伝えられ「どこかで生存、生息している可能性がある」と指摘する専門家もいる。

研究結果から推定されるニホンカワウソの系統関係と分岐年代(東京農業大学と国立極地研の研究グループ提供)
図.研究結果から推定されるニホンカワウソの系統関係と分岐年代(東京農業大学と国立極地研の研究グループ提供)
高知県で1977年に捕獲されたニホンカワウソの剥製標本(高知県のいち動物公園所蔵、東京農業大学大学院和久大介氏撮影・提供)
写真.高知県で1977年に捕獲されたニホンカワウソの剥製標本(高知県のいち動物公園所蔵、東京農業大学大学院和久大介氏撮影・提供)
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