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慢性疲労症候群の子どもの脳は過剰活動状態 理研解明、治療法開発に道

掲載日:2015年10月16日

原因不明の疲労、だるさや睡眠障害が続いて学校生活にも支障を来す「慢性疲労症候群」の子どもの脳は過剰に活動して脳機能が非効率な状態になっていることを、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター(神戸市)や大阪市立大学 、熊本大学、兵庫教育大学などの共同研究チームが明らかにした。

小児の慢性疲労症候群の有病率は最大で約2%以上とのデータもあり、不登校の児童や生徒の多くがこの病気を抱えているともされるが、根本的な治療法はなかった。病態の解明や治療方法の開発につながる成果と期待される。

研究は、「機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)」と呼ばれる、脳の神経機能研究に有効な装置を使って実施され、この装置で小児慢性疲労症候群児の脳状態を研究したのは世界で初、という。研究成果は15日発表、オランダの科学誌に掲載された。

慢性疲労症候群は原因が分からないまま疲労やだるさが続き、半年以上も正常な社会生活が送れなくなる病気で、主に20∼50代の成人で患者が多い。一方、小児慢性疲労症候群は3カ月以上持続し、記憶や注意力が低下して学校生活への適応を妨げている可能性がある、と指摘されている。

研究チームは、健康な子ども13人と小児慢性疲労症候群の子ども15人を対象に調べた。それぞれのグループの子どもに、20の言葉でできた文章を読んでもらい、物語の内容を理解してもらうなどのテスト(仮名拾いテスト)を実施。注意力を働かせる状態にして脳内の血流を測定した。

すると、健康な子どもでは文章の読解を担う前頭葉の左側が主に活発な活動をしていたのに対し、小児慢性疲労症候群の子どもでは、左側だけでなく右脳の一部の活動も活発化。物語内容を理解するために脳が過剰に反応、活動して、脳機能全体としては非効率になっていることを示した。

研究チームは「慢性疲労症候群の子どもは、疲労により脳が活動しにくくなっているというよりも、脳の機能低下を補うためにむしろ脳を過剰に活動させていると考えられる。今後も研究を続けて患者が多いこの病気の治療効果も視野に入れた応用研究を進める」としている。

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