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日本の大学200位内にわずか2校 英教育誌の世界ランキング

2015.10.05

 英国の教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が9月30日発表した「世界大学ランキング」で、200位内に入ったのは東京大学と京都大学の2大学だけだった。東京大学は昨年の23位から43位に、京都大学も59位から88位にそれぞれ順位を落としている。昨年、アジア地区では最高位だった東京大学は、シンガポール国立大学と北京大学に抜かれ、アジアで3位の評価となった。

 同誌の昨年のランキングでは、200位内に東京大学、京都大学を含む5大学が入っていた。しかし、昨年141位だった東京工業大学と165位の東北大学は、いずれも「201-250」位グループに、157位だった大阪大学も「251-300」位のグループにランク落ちしている。

 一方、アジア地区の他の国・地域を見ると、韓国が85位のソウル大学、116位の浦項工科大学、148位のKAIST、153位の成均館大学と200位内に4大学が入り最も多い。次いで香港大学44位、香港科技大学59位、香港中文大学138位と3大学の香港。シンガポール国立大学26位、南洋理工大学55位の2大学が入ったシンガポールと、北京大学42位、清華大学47位と同じく2大学の中国が続く。台湾からも、国立台湾大学が167位に入っている。

 これら日本以外のアジアの国・地域から200位内に入った12大学はすべて昨年も200位内に入っており、日本以外のアジア国・地域の大学のうち昨年200位内で今年、入らなかったのは中国の復旦大学と香港の香港城市大学だけだった。5大学中、3大学が200位内から消えた日本との差が目立つ。

 「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」のランキングは、教育、国際性、研究、論文引用度、産業収入の5項目を評価対象としている(細分化した項目としては13)。東京大学、京都大学と、シンガポール国立大学、北京大学の評価結果を比べてみると、国際性(外国人教員、外国人学生の比率)と論文引用度で、東京大学、京都大学ともシンガポール国立大学と北京大学より評価が低いのが目立つ。5項目の評価割合は同一ではなく、国際性は全体の評価に占める割合が7.5%と、産業収入(教員1人当たりの産学連携収入)の2.5%に次いで小さい。他方、論文引用度の全体の評価に占める割合は30.0%。論文の引用度で、東京大学、京都大学ともシンガポール国立大学と北京大学に比べて見劣るのが、全体の評価に大きく影響したことがうかがえる。

 論文引用度は、最近、購読料の高さが問題にもなっている国際学術専門出版社「エルゼビア」の抄録・引用文献データベース「スコーパス」を基にしている。世界中で発行されている23,000の学術誌に2010年から5年間に掲載された学術論文が、他の研究者にどれだけ引用されたかを見ることで、各大学の教員の研究活動を評価している。昨年までは国際情報サービス企業「トムソン・ロイター」のデータベースを基にしており、こちらは12,000の学術誌に載った論文が対象だった。

 世界大学ランキングは、「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」のほかの機関も公表している。同じ英国の大学評価機関「クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds)」が9月に発表した最新の世界大学ランキングでは、京都大学の38位を筆頭に東京大学39位。東京工業大学56位、大阪大学58位、東北大学74位と100位内に5大学が入っている。ただし、こちらもシンガポール国立大学12位、南洋理工大学(シンガポール)13位、清華大学(中国)25位、香港科技大学(香港)28位、香港大学(香港)30位、ソウル大学(韓国)36位と、アジアの6大学が、日本で最上位の京都大学より高い評価を得ている。

 昨年まで「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」に論文引用度の基礎データを提供していたトムソン・ロイターも今年から「最もイノベーティブな世界大学ランキング」を公表している。「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」や「クアクアレリ・シモンズ(QS)」によるランキングとは異なり、大学が所有する特許、学術論文の引用情報などから、特許取得の広がり(国際性)やインパクト(引用数)、産業界との連携論文などを評価し、世界の大学をランク付けしている。こちらには大阪大学の18位を筆頭に100位内に日本の大学が9校入り、米国の50校に次ぐ多さとなっている。

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