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量子もつれが時空を形成する仕組みを解明

掲載日:2015年6月3日

この世界を成り立たせている力の仕組みの解明に大きく貢献することが期待される研究成果が得られた。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の大栗 博司(おおぐり ひろし)主任研究員とカリフォルニア工科大学のマチルダ・マルコリ教授らのグループは、「量子もつれ」が時空を形成する仕組みを計算を用いて解明した。この成果の重要性が評価され、米物理学会の発行するフィジカル・レビュー・レター誌の注目論文に選ばれた。一般相対性理論と量子力学の理論を統一する究極の統一理論の構築に貢献することが期待される。

われわれの世界には、「電磁気力」「強い力」「弱い力」「重力」の4つの力が存在することが分かっている。宇宙がはじまった当初、これら4つの力が1つの力として統一されていたと考えられ、アインシュタインをはじめとした多くの研究者が統一理論の構築に取り組んできた。これまでに、ミクロな世界での現象を記述する量子力学で「電磁気力」「強い力」「弱い力」の3つは 説明できることが知られている。一方、天体の動きや宇宙の進化などマクロな世界での現象は、 アインシュタインの相対性理論で 説明できる。しかし、量子力学と相対性理論を統一的に説明できる理論はこれまで見つかっていなかった。

大栗氏らのグループは、マクロな世界での重力を量子力学 と共に扱うことができるホログラフィー原理に注目し、 量子もつれの現象から時空が生まれる仕組みを、 具体的な計算を用いて解明した。量子もつれとは、一方の粒子の量子状態が離れた場所にある別の粒子の量子状態に影響を与えるという、アインシュタインに「奇怪な遠隔作用」と言わせた 現象である。現在では量子コンピュータの実現に向けた情報科学の計算基盤や暗号技術にも用いられようとしている。

宇宙の成り立ちを探る理論としてだけでなく、新たな科学技術の基礎理論に貢献するものとして注目される。

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