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直観的な戦略決定担う脳の部位特定

掲載日:2015年4月21日

 直観的な戦略決定は、大脳の帯状皮質と呼ばれる領域を中心に行われている可能性が高いことを、国立研究開発法人理化学研究所が将棋の棋士を対象にした研究で突き止めた。

 将棋の棋士を研究対象として、脳の情報処理機能を解明しようとする理化学研究所の研究は、2007年に始まる。これまでの研究では、プロ棋士にはアマチュア棋士とは異なり、長考する時とは別に一目で状況判断、最善手を見つけ出す特異な思考の回路(直観)があることが分かってきた。さらに、こうした優れた直観力は、大脳基底核に位置する尾状核と呼ばれる神経核にあることも明らかにされている。

 今回の研究は、富士通、富士通研究所、日本将棋連盟の協力のもと行われた。アマチュア3、4段の高段者17人に機能的磁気共鳴画像(fMRI)装置の中に入ってもらい、直観的思考が問われる盤面と、次の一手を考える盤面を与えて、脳の働きを調べた。ある盤面を4秒間提示し、「攻め」「守り」のどちらを選ぶか、2秒以内に答えてもらう。これは、戦略決定をする際の脳の変化を見るためだ。また、指し手を考慮中の脳の変化を見るために、同じように別の盤面を4秒間提示し、4つの選択肢を与え、同じく2秒以内の答えを求めた。

 こうした実験の結果、攻めるか守るかという戦略を決定した場合の方が、次の指し手を熟考する時よりも正答率が高く、平均反応時間もより短い傾向がみられた。これは、直観的な戦略決定が、具体的な指し手をあれこれ深く考えることなく行われたことを示す、と考えられる。また直観的な戦略決定を回答する時に活動が高まる脳の領域の測定結果から、直観的な判断は大脳の帯状皮質と呼ばれる領域を中心とするネットワークで行われていることも分かった。

 一方、具体的な指し手を考えている際に活性化するのは別の領域で、帯状皮質の後ろに位置する前頭前野背外側部後部、運動前野背側部、前補足運動野、頭頂葉楔前部(とうちょうようけつぜんぶ)などだった。

 理化学研究所 脳科学総合研究センター 認知機能表現研究チームの田中啓治(たなか けいじ)チームリーダー、程康(チェン・カン)副チームリーダー、万小紅(ワン・シャオホン)研究員から成る研究チームは、「将棋以外の日常的な個人や集団による直観的な戦略決定にも、類似の脳ネットワークが使われている可能性があると考えられる」と言っている。

攻めと守りの戦略決定に関わる脳のネットワーク。与えられた盤面での攻めの主観的価値が帯状皮質後部に、守りの主観的価値が帯状皮質前部にそれぞれ表現され、前頭前野背外側部に伝えられ、その差によって攻めるか守るかの戦略が決定される。

攻めと守りの戦略決定に関わる脳のネットワーク。

与えられた盤面での攻めの主観的価値が帯状皮質後部に、守りの主観的価値が帯状皮質前部にそれぞれ表現され、前頭前野背外側部に伝えられ、その差によって攻めるか守るかの戦略が決定される。

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