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沖縄の海岸に幻の巨大ザメの歯化石漂着

掲載日:2015年1月28日

沖縄本島の東海岸の波打ち際に転がっていた石は幻の巨大ザメ「メガマウス」(マウスが100万個も集まった巨体という意味)の貴重な歯化石だった。沖縄美ら島(ちゅらしま)財団の総合研究センターの冨田武照(とみた たけてる)研究員らが確認した。メガマウスは1976年にハワイ沖で最初に発見された全長6メートルに達するサメ。熱帯や温帯の水深100~200メートルに生息しているが、捕獲が数年に1度と少なく、「幻のサメ」と言われていた。

化石も極めて乏しく、欧米の約10カ所で歯の化石が発見されているだけ。現生で発見されるメガマウスの8割は日本、台湾、フィリピンなどのアジアに集中しているのに、化石が出ないのは謎のひとつだった。沖縄の歯化石はアジアで発見された初めての公式記録で、アジアにも化石があり、メガマウスがかつて全世界的に分布していたことを示す確かな物証といえる。日本古生物学会の英文誌Paleontological Researchに論文を発表する。

化石は1センチほどの歯のかけら。発見された海岸には新生代新第三紀(2300万年前~260万年前)の地層が広がる。海底の地層が波に浸食されて掘り出され、漂着したらしい。この発見には麗しいドラマがあった。化石研究に熱心な那覇市の小学3年生の岩瀬暖花(いわせ ほのか)さんが2014年2月、それまで採集した化石を持って沖縄美ら島水族館を訪ねた。その時、知り合った同水族館の教育普及担当スタッフ(魚類分類学)の横山季代子(よこやま きよこ)さんが暖花さんに教えられた化石産地の海岸で小石を探していて、この小さな化石を偶然発見した。

若い古生物学者の冨田武照さんが詳しく調べたところ、メガマウスの歯とわかり、みんなが仰天した。北米から発見された新生代古第三紀(6600万年前~2300万年前)の同種の歯化石と比べて、現生のメガマウスに近い特徴を持っていた。プランクトンを主食とするため、図体は大きく、口も大きく開けるが、歯は小さい。歯の形はメガマウスの食性変化をたどる手がかりになる。メガマウスの化石の記録はこれまでもあるが、個人の標本にすぎなかった。アジアでは、公的な機関による初めてのメガマウス化石の記録となった。

研究グループは「メガマウスの化石を見たのは初めてで、びっくりした。宝くじに当たるよりも低い確率の発見だろう。化石の証拠が増えれば、謎に満ちたメガマウスの進化の解明につながる」と期待している。貴重な研究資料として、沖縄美ら島財団はこの化石を国立科学博物館(東京・上野)に寄贈した。

発見されたメガマウスの歯化石
写真. 発見されたメガマウスの歯化石
(提供:沖縄美ら島財団)
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