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プラズマ流のせき止めをLHDで発見

掲載日:2015年1月9日

高温のプラズマの流れをせき止める新しい仕組みを、核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の居田克巳(いだ かつみ)教授らが世界最大の大型ヘリカル装置(LHD)の実験で初めて発見した。将来の核融合のプラズマを制御する際の重要な新知見といえる。九州大学応用力学研究所の稲垣滋(いながき しげる)教授との共同研究で、1月8日付の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。

核融合発電を目指して、プラズマを閉じ込める研究が世界中で行われている。LHD(高さ9.1m、直径13.5m)もそのひとつだ。1998年に完成して毎年実験を積み重ねて、短時間低密度だが、プラズマを9400万度まで加熱し、核融合の実現に必要とされる温度の1億2000万度に迫っている。プラズマの中心温度が上がるにつれ、プラズマに乱れが生じる。乱れが発達すると、プラズマに流れが発生し、乱れと流れが共存する。乱れはプラズマをかき混ぜて中心温度を下げ、流れは乱れの渦をすりつぶして中心温度を上げる。核融合炉ではプラズマの流れを維持することが鍵を握る。また、天体ではプラズマ流の強弱がその命運に関わってくる。

研究グループは、プラズマの流れを精度よく計測する分光手法を開発して、2012・2013年のLHDの運転中に実験した。LHDは、らせん状にねじれる内部空間を真空にして水素ガスを注入し、外部から強力な電磁波と高速の水素原子の加熱ビームで高温の水素プラズマを作りだす。2本の加熱ビームの向きを入れ替えて磁場のねじれを弱くすると、プラズマを取り囲むらせん状の磁気面が壊れる。こうした磁気面のストキャスティック化のときのプラズマの流れへの影響を詳しく測定した。

その結果、磁気面が壊れると、プラズマの流れはぴたりとせき止められた。こうした現象は、外国の研究者が1978年に理論で予想していたが、今回の実験で計測されたプラズマ流のせき止め強度はこの理論予想を5倍以上も上回り、プラズマの流れがほとんど止まってしまうほどだった。磁気面の破壊はプラズマ流の急ブレーキといえる現象で、今後の核融合や宇宙での高温プラズマの挙動の研究に新しい手がかりを与えた。

居田克巳教授らLHD実験グループは「LHDの内部にできる磁気面やプラズマ流に対する最新の計測技術を駆使して、この現象を捉えることができた。理論の予想を大きく超える影響に驚いた。プラズマ流のせき止めは、高温高圧のプラズマが持続する核融合にとって好ましくないので、核融合を実現する際には、磁気面の破壊が起きないように運転する必要がある」と指摘している。

磁気面の破壊によるプラズマ流のせき止めの概念図
図. 磁気面の破壊によるプラズマ流のせき止めの概念図。入れ子状の磁気面が形成されている時にはプラズマ中心部付近に大きな流れが形成され、端に向かって流れの大きな勾配をもっている(左図)。しかし、 磁気面が壊れてストキャスティック化を起こした後では、プラズマ中心部の大きな流れは止まってしまい、流れの勾配もなくなってしまう(右図)。
(提供:核融合科学研究所)
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