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坂東昌子、関口仁子氏に湯浅年子賞授与

掲載日:2014年12月25日

自然科学で顕著な業績を挙げた女性に贈る湯浅年子賞の授賞式が12月24日、お茶の水女子大学(東京都文京区)で開かれ、素粒子論の坂東昌子(ばんどう まさこ)愛知大学名誉教授(77)に金賞が、原子核実験の関口仁子(せきぐち きみこ)東北大学准教授(41)に銀賞が授与された。お茶の水女子大学の羽入佐和子(はにゅう さわこ)学長が表彰状を、高エネルギー加速器研究機構(KEK)湯浅年子ラボラトリー所長の幅淳二(はば じゅんじ)教授がメダルを手渡した。ささやかな授賞式だったが、出席者らは2人を温かく祝福した。

授賞理由は、坂東昌子さんが「対称性の自発的破れに隠れた局所対称性の研究、女性研究者と若手研究者の支援活動」、関口仁子さんは「原子核物理学における3体核力に関する実験的研究」。関口さんは受賞を記念してKEKの支援で、2015年3月に1週間フランスに出かけ、各地の研究機関で自らの研究について講演する。

受賞講演で、坂東昌子さんは半世紀前、湯川秀樹京都大学教授の研究室の大学院生だった時に結婚して長女を産み、京大に保育所を作る運動に取り組んで、1年後に京大保育所を実現した話から始め、20世紀後半の素粒子論と宇宙論の革命を振り返った。隠れた局所対称性の理論で「ひたひたと押し寄せていた新しい波に追いついた」と語った。2006年に日本物理学会会長になったが、「ポスドク問題と女性研究者支援を訴えるために引き受けた。被搾取型ポスドクをなくしていかないと、科学は発展できない」と持論を述べた。

関口仁子さんは、原子核の中で働く核力について最新の成果を報告した。21世紀の核力研究は、クォークからの記述と、3個の核子が瞬間的に作用する3体核力に移った。理化学研究所などの加速器で重陽子と陽子を散乱させる実験を行って、理論通りであることを確かめた。「理論と実験から定量的に核力の3体力を議論できるようになった」と語り、中性子過剰の原子核や、中性子星などの高密度核物質の研究にも刺激を与えつつあるという。老子の言葉「三生萬物」(3はあらゆるものを生じる)を引用して講演を終えた。

湯浅年子賞は、お茶の水女子大学がKEK湯浅年子ラボラトリーの協力を得て、フランスで長く活躍した原子核物理学者の湯浅年子博士(1909~80年)の功績を記念して2013年に設立し、今回は2回目。湯浅博士は1931年に東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)を卒業、40年に渡仏して研究した。第2次世界大戦末期に帰国後、一時はお茶の水女子大学教授となったが、49年に再渡仏し、亡くなるまでコレージュ・ド・フランス原子核化学研究所とオルセー研究所で原子核実験に携わり、日仏共同研究の実現にも尽くした。

第2回湯浅年子賞を受賞した坂東昌子さん(右)と関口仁子さん=12月24日、お茶の水女子大学
写真. 第2回湯浅年子賞を受賞した坂東昌子さん(右)と関口仁子さん=12月24日、お茶の水女子大学
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