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有機化学のテトラヘドロン賞に辻二郎氏

2014.11.17

辻二郎・東京工業大学 栄誉教授
写真. 辻二郎・東京工業大学 栄誉教授(提供:東京工業大学)

 有機・バイオ医薬品化学で独創的な業績を挙げた研究者に贈られる2014年度のテトラヘドロン賞に辻二郎(つじ じろう)東京工業大学栄誉教授(87)が選ばれた。米スタンフォード大学のバリー・トロスト教授(73)と共同受賞で、有機化学の分野で広く使われている遷移金属触媒反応を開発し、応用に道を開いた業績が評価された。両教授が開発した反応は「辻・トロスト反応」として知られている。国際的な科学・技術の大手出版社のエルゼビア(本社・オランダ)が発表した。

 授与式は2015年8月にボストンで開催される米化学会の秋季大会で。2人に金メダルと賞金計1万ドルが贈られる。テトラヘドロン賞は1980年にエルゼビアと関連誌によって創設され、毎年、有機化学や生化学、医化学の分野の優れた研究者を選考し、授与している。

 辻二郎栄誉教授は滋賀県生まれ、京都大学理学部を卒業し、米コロンビア大学に留学して博士号を取得、東レ基礎研究所を経て、東京工業大学、岡山理科大学の教授を歴任した。1965年の論文などで、炭素−炭素結合生成のために現在は日常的に使われているパラジウム触媒を発表し、その先駆者となった。その業績で2004年には日本学士院賞を鈴木章(すずき あきら)北海道大学名誉教授とともに受賞した。

 辻二郎栄誉教授は「私のライフワークである有機合成の研究成果が認められ、有機化学の国際賞として権威があるテトラヘドロン賞の受賞は大変幸いです。米寿を迎えましたが、健康です。この受賞は引退のよき花道になります」とコメントを出した。

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