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わかったぞ、脳が光沢を評価する指標

掲載日:2014年9月3日

光沢を評価する脳の仕組みの一端を、生理学研究所(愛知県岡崎市)の小松英彦教授と西尾亜希子研究員らがニホンザルの実験で突き止めた。画像のどのような情報を基に脳が光沢を評価しているかを示す発見といえる。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の下川丈明研究員との共同研究で、米科学誌Journal of Neuroscienceの8月13日号に発表した。

脳が光沢をどのように判断しているか、これまでよくわかっていなかった。研究グループは、光沢が2つの指標(照明が明るく反射されるハイライトのコントラストと境界の鋭さ)で知覚されているという心理実験の結果に注目して、これらの指標を変化させた画像をコンピューターグラフィックスで作成した。その画像を見ているニホンザルの下側頭皮質(かそくとうひしつ、大脳の腹部にある視覚野)の神経細胞の活動を詳しく調べた。

実験は、約40個の神経細胞に微細な電極を刺して活動電位の変化を記録し、光沢画像への反応を見た。1回の実験ごとに極細電極を刺して、個別の神経細胞の活動を記録する実験を積み重ねた。その結果、脳の神経細胞はコントラストや鋭さ、物体の明るさという比較的簡単な画像の指標をそれぞれ評価して、光沢を捉える役割を分担していることがわかった。また記録した神経細胞の活動を用いれば、ヒトの主観と合ったコントラストと鋭さ、明るさの3指標を再現できることも確かめた。

小松英彦教授は「今回の研究で、『光沢を評価するために脳が利用している指標』を実証し、光沢を認識する脳の仕組みに迫った。ヒトでも同じ仕組みがあるだろう。人工的な画像認識システムに応用すれば、光沢を認識できる機械を作ることにつながる。光沢は物の質感に関わる重要な性質なので、さまざまなものづくりにも役立つ可能性がある」と話している。

脳の神経細胞の活動を記録した下側頭皮質(視覚野)の部位
図. 脳の神経細胞の活動を記録した下側頭皮質(視覚野)の部位

視覚野の神経細胞ごとに特性があり、左はハイライトの鋭さに反応した神経細胞、右はコントラストに反応した細胞
グラフ1. 視覚野の神経細胞ごとに特性があり、左はハイライトの鋭さに反応した神経細胞、右はコントラストに反応した細胞

記録した神経細胞の集団の応答を基に、光沢知覚に関わる3種類の指標(コントラスト、鋭さ、明るさ)が正確に再現できた
グラフ. 記録した神経細胞の集団の応答を基に、光沢知覚に関わる3種類の指標(コントラスト、鋭さ、明るさ)が正確に再現できた
(いずれも提供:生理学研究所)
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