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季節ごとに花咲く源はコケ類にあった

掲載日:2014年4月24日

植物が季節を感知して花を咲かせる仕組みの原形は、花のない祖先的植物のコケ類が陸上に進出した時、既に確立していたことを、京都大学大学院生命科学研究科の河内孝之(こうち たかゆき)教授と久保田茜(くぼた あかね)研究員らがゼニゴケで明らかにした。植物が四季おりおりに花を咲かせる仕組みの起源をひも解く発見といえる。4月22日付の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。

植物はベストな季節を感知して花を咲かせ、繁殖して種の存続を最適化している。体内に持つ概日時計を利用して昼夜の長さを測ることで、花を咲かせる季節を認識している仕組みがわかっている。最も進化した被子植物では、GIとFKF1と呼ばれるタンパク質の複合体がその中心的な役割を果たすことも解明されている。

コケ類は花を持たないが、季節に応じて生殖器を形成する。研究グループはコケ類のゼニゴケのゲノム情報を解析して、ゼニゴケにも被子植物のGI、FKF1によく似た遺伝子が存在することを見つけた。さらに、ゼニゴケのGI、FKF遺伝子を欠損させたゼニゴケの変異体では生殖器が形成されなくなるのに対し、これらの遺伝子が過剰に蓄積した変異体では季節に関係なく生殖器形成が促進されることを確かめた。

GIタンパク質とFKFタンパク質はゼニゴケで複合体を形成する。GI-FKF1複合体によって花を咲かせる仕組みそのものはコケ類にも存在していた。植物が約4億7千万年前の古生代に陸へ上がった時、既にこの仕組みが獲得されていたことがうかがえる。ゼニゴケのGIタンパク質は被子植物でも、芽を葉から花に変える成長相転換のタンパク質として働きうることも突き止めた。被子植物が花を咲かせる仕組みは、コケ植物の生殖器形成を制御する仕組みを起源としており、陸上植物の進化過程で保存されてきた可能性が大きいと結論づけた。

河内孝之教授は「コケ類は最初に海から陸に上がった開拓者のような植物だ。季節を感じて花を咲かせる仕組みの原形がゼニゴケに存在したことは、進化を考えるのに重要な意味がある。植物の起源を探る新しい手がかりになる」と話している。

コケ類の生殖器形成と被子植物の花を咲かせる仕組みの共通性
図. コケ類の生殖器形成と被子植物の花を咲かせる仕組みの共通性
(提供:京都大学)
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