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街や川を遡上する津波を精緻に再現

掲載日:2014年4月21日

大津波の挙動を正確に予測しておくことは重要である。津波が市街地や河川を遡上する様子を精緻に再現できる3次元津波シミュレーター(ソフトウエア)の開発に、東北大学と富士通が共同で成功した。仙台市で4月13~16日に開かれた「防災・環境に関する数値科学技術の国際学会(COMPSAFE2014)」で発表し、参加者の注目を集めた。

東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦教授がこれまで開発した2次元シミュレーション技術は、波源から沿岸までの広域の津波到達時間や波高の計算に広く活用されている。今回は、その2次元技術に、富士通の3次元流体シミュレーション技術を融合させた。沿岸の地形や市街地の建造物によって津波が複雑に変化しながら、さかのぼっていく様子をより正確に再現できた。

東日本大震災の経験から、南海トラフ地震など将来の津波被害をできる限り抑えるため、大規模なシミュレーション技術を被害予測に活用するニーズが高まっている。既存の3次元流体シミュレーションのままでは、計算量があまりに膨大で、現在のスーパーコンピューターでも年月がかかりすぎて、計算が事実上不可能だった。

今村文彦教授らと富士通は2012年2月から、精度の高い3次元シミュレーターの共同開発に取り組んだ。波源から沿岸に至る広域の津波は、比較的計算量が少ない2次元シミュレーションで再現した。地形や建造物の影響を受けやすく、砕け散る波や越流などが生じる領域では、3次元流体シミュレーションでダイナミックな津波の動きを再現できるよう工夫した。この手法なら、現在のスーパーコンピューターで計算でき、実用化が可能だという。富士通は「この3次元津波シミュレーターで、沿岸部や市街地の津波の挙動の威力を精緻に予測し、災害に強い街づくりに貢献していきたい」としている。

今村文彦教授は「津波の最も精緻なシミュレーターのひとつだ。これで津波の挙動を事前に検討しておけば、正確な被害予測マップを作ることができる。避難ビルの高さや避難タワーの強度などの指針にもなる。沿岸までは、これまでのわれわれの2次元シミュレーションでよいが、浅くなると、3次元的に計算する必要がある。計算時間の一層の短縮や、津波による漂流物の影響の考慮など、が今後の課題だろう」と話している。

3次元津波シミュレーターで再現した津波
図. 3次元津波シミュレーターで再現した津波。
(a)波源から沿岸部までの津波の波高・流速。
(b)沿岸部から街に流入する津波の3次元的な挙動。
白丸で囲んだ部分では、流入する津波が重なり合い、
浅瀬の影響も受けて複雑な流れが形成される。
(提供:富士通)
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