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水に入れても膨らまない医用材料を開発

掲載日:2014年2月24日

水中に入れても膨張しない高強度の医用材料、ハイドロゲルを東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の酒井崇匡(さかい たかまさ)助教と大学院生の鎌田宏幸さん、鄭雄一教授らが開発し、2月21日の米科学誌サイエンスに発表した。この新しいハイドロゲルは、人工軟骨や人工椎間板などへの応用や、幹細胞による再生医療の足場材料への利用が期待されている。

ハイドロゲルは高分子が水を含んで膨らんだ物質の総称。含水率が高く、皮膚や筋肉など軟組織に似た組成を持つため、生体に優しい医用材料になる。既にコンタクトレンズや紙オムツなどに広く使われている。しかし、体内で使うと、水分を吸収して膨張してしまうため、元の形を維持できずに形崩れし、もろくなるのが課題となっている。いったん膨潤が進むと、周辺組織を傷つけ、設置した後に脱落しやすくなる問題もあった。

今回、酒井さんらは、生体環境下で収縮する特殊な温度応答性の高分子を、ハイドロゲルに導入して、水分の吸収で膨張しようとする変形を制御することに成功した。このハイドロゲルは膨潤が抑えられた状態で、90%程度の高い含水率を備え、極めて透明なこともわかった。繰り返し伸長させても破断せず、強度が維持された。研究グループは「ハイドロゲルを医用材料として使う場合の問題をほぼ克服できた」としている。

10度で水に溶け、37度の生体内で収縮する、温度応答性の高分子を任意の割合で溶液に混ぜるだけで、ハイドロゲルの膨張、収縮の特性を調節できる。誰でも簡単に作製可能で、「生体環境で初期形状・高強度を保つ世界初のハイドロゲル」としている。

酒井さんは「6年間かけて、ハイドロゲルの膨潤の問題を有効に解決できる見通しをつけた。さまざまな実用化に向けて研究を発展させたい」と話している。

通常のハイドロゲル(上)と膨潤しない新しいハイドロゲル
写真. 通常のハイドロゲル(上)と膨潤しない新しいハイドロゲル
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