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おむつや絆創膏にも利用できるワイヤレス有機センサー

掲載日:2014年2月12日

東京大学大学院の染谷隆夫教授や東京大学生産技術研究所の桜井貴康教授らは、高分子フィルム上に有機集積回路を作り、離れた所から無線で電力を供給し、データを受信する“ワイヤレス有機センサーシステム”の開発に成功した。同システムによる検出シートは薄く、曲げられる、柔らかなセンサーとして、水分の検出以外に、温度や圧力などさまざまな検出にも応用できる。このため、絆創膏(ばんそうこう)やおむつなど、装着感が少なく使い捨てができる衛生的なセンサーとして、幅広い用途への利用が考えられるという。

研究グループは、厚さ12.5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の「ポリイミド」という高分子フィルム上に、3ブロックからなる有機集積回路を作製した。

第1のブロックは、有機ダイオードを用いた整流回路で、「電磁界共鳴法」による電力の伝送方式を世界で初めて、有機集積回路を駆動させることに採用した。従来の電磁誘導方式に比べて、より離れた所から、結合面を対面させなくても回路に電力を供給できるようにした。

第2のブロックは、抵抗変化で発振周波数が変化する有機リング発振回路で、水分などによる抵抗の変化を無線でデータ転送する。検出センサーのコイルが曲がっても最適な通信条件でデータを送出できるように送信電圧の調整ができるので、データを受け取る(読み取る)リーダーの消費電力を最大で92%削減した。
第3のブロックは、有機ダイオードを用いた静電気保護回路で、静電気の高電圧パルスによって半導体デバイスや内部回路が破壊されることを防ぐ。検出センサーが2キロボルト(kV)の静電気で帯電した人体に触れても、電流を迂回させ、内部回路が壊れない耐性を実現したという。

研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業「染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト」によって行われた。研究成果「Organic Transistor Based 2kV ESD Tolerant Flexible Wet Sensor Sheet for Biomedical Applications with Wireless Power and Data Transmission Using 13.56MHz Magnetic Resonance(13.56MHz帯の無線で電力とデータが転送可能で2kVの静電気耐性のあるバイオ医療応用のための有機トランジスターによるフレキシブル水分センサーシート)」は、2月9-13日に米国サンフランシスコで開催される「国際固体回路会議(ISSCC)2014」で発表される。

開発した柔らかいワイヤレス有機センサーシステム
開発した柔らかいワイヤレス有機センサーシステム
水分を検出して、ワイヤレスで電力やデータを伝送できる。おむつやばんそうこうに張り付けて、使い捨てにすることもできる。

(提供:科学技術振興機構など)
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