ニュース

不確定性原理の不完全さ実験で証明

2012.01.16

 物理学の基本原理となっている「不確定性原理」が完璧ではないことを、小澤正直・名古屋大学大学院情報学研究科 教授と長谷川祐司・ウィーン工科大学 准教授を中心とする共同研究グループが確かめ、英科学誌「ネイチャー」最新号に発表した。

 「不確定性原理」は、ドイツのノーベル物理学賞受賞者ハイゼンベルクによって1927年に提唱された。位置と速度のように組み合わせ関係にある2つの物理量を正確に測定することは原理的に不可能である、とする。小澤教授は、「ハイゼンベルクの不等式」に代わる「小澤の不等式」を2003年に発表し、測定前の状態によっては2つの物理量の同時測定が可能な場合があることを示していた。

 小澤理論を実験的に実証することは、これまで困難とされていたが、今回、長谷川准教授らが開発した最先端の中性子光学実験装置により、「ハイゼンベルクの不等式」の破れを実験的に観測することに世界で初めて成功した、という。名古屋大学は今回の成果について、基礎科学の発展にとどまらず、ナノサイエンスの新たな測定技術、重力波の検出、量子暗号の開発への応用が期待できる、と言っている。

 不確定性原理は科学者以外にもよく知られており、ハイゼンベルクとボーア夫妻を登場人物とする「コペンハーゲン」(マイケル・フレイン作)という劇が日本でも公開されたことがある。

ページトップへ