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放射性物質周辺環境へじわじわ拡散

2011.03.23

 福島第一原子力発電所から放出されている放射性物質は、周辺住民の健康に悪影響を与える量でないことを政府は再三強調している。ただ、微量とはいえ放射性物質は福島県外にもじわじわと広がっていることが、文部科学省などの公表データから明らかになりつつある。

 22日午後5時時点でまとめた同省の環境放射能水準調査結果によると、茨城県水戸市では同日午後4時から5時の間に1時間当たり0.378マイクロシーベルトの放射線量が観測された。1日前21日の同じ時間帯の観測値は0.340マイクロシーベルト、2日前20日のほぼ同じ時間帯(午後5-6時)の観測値は0.172マイクロシーベルトだった。

 東京都新宿区の22日午後4-5時の値は、0.138マイクロシーベルトで、1日前の同時間帯は0.125マイクロシーベルト、2日前は0.045マイクロシーベルトであることから、水戸市同様、わずかながら上昇の傾向を示している。

 栃木県宇都宮市の22日午後4-5時の値は、0.148マイクロシーベルト。こちらは1日前が0.133マイクロシーベルト、2日前が0.154マイクロシーベルト(以下単位はすべて1時間当たりのマイクロシーベルト)だから、上昇傾向とは言えない。ただし、さいたま市(22日0.114、21日0.106、20日0.052)、千葉県市原市(22日0.106、21日0.082、20日0.032)、群馬県前橋市(22日0.110、21日0.085、20日0.096)、神奈川県茅ヶ崎市(22日0.093、21日0.083、20日0.046)と栃木県を除く関東各都県で観測された大気中の微量放射線量はわずかながらとはいえ増えつつあるように見える。

 また、21日に福島第一原子力発電所1-4号機放水口から南約100メートルで採取した海水から、周辺海域外の廃液中濃度基準を上回る放射性のヨウ素、セシウムが検出された。東京電力によると、検出されたのは放射性ヨウ素131が1立方センチあたり5.1ベクレル、放射性セシウム134、137がそれぞれ1立方センチあたり1.5ベクレルなど。放射性ヨウ素の量は基準の約100倍、放射性セシウム134、137はそれぞれ数十倍だった。

 報告を受けた原子力安全・保安院は22日、海域の現在の利用状況からみて直ちに人体の健康への問題とはならない、という見解を発表する一方、引き続き調査の必要と、東京電力から報告された数値について原子力安全委員会の評価を求めたことを明らかにした。

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