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脳の損傷で失われた視覚も回復

掲載日:2008年10月16日

視覚野と呼ばれる脳の損傷で失われた視覚機能が、リハビリで回復することを、自然科学研究機構・生理学研究所の研究チームがサルを使った実験で確かめた。これまで大脳皮質障害による「視覚欠損」と診断されてあきらめていた患者も、トレーニングによって視覚機能を回復させる可能性があることを示した成果として注目されている。

生理学研究所の伊佐正・教授と吉田正俊・助教は、脳の後頭葉にあって目の網膜からの情報が集まる視覚野に注目し、片方の視覚野を損傷させたサルを使って、視覚障害とその回復の可能性を調べた。

サルは、損傷した視覚野によって片側の視野が見えなくなる状態となるが、光の点を示すトレーニングを続けた結果、徐々に光の方向を感じ取ることができるようになった。ただし、正常の視覚を持つ場合の光の位置を突き止める眼球の動きと異なり、直線的な眼球の動きしかできない(正確な位置を確実・効率的にとらえにくい)ことも分かった。これは、損傷した視覚野とは別の脳の部位が視覚野の機能を代替していることを意味していると考えられる。

サルが視覚機能を回復するのに数カ月を要したことから粘り強いトレーニングが必要だが、大脳皮質障害により視覚欠損になった患者も機能回復が期待できる。また、その際、目の動きをモニタリングすることが、リハビリテーションの効果や回復の判定に役立つ、と伊佐教授らは言っている。

この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として得られた。

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