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藻類の遺伝子組み込んで植物の成長促進

2007.07.13

提供:日本大学生物資源科学部

 陸上植物が進化の過程で手放してしまった遺伝子を水生植物から探し出して組み込み、光合成能力を大幅に向上させることに日本大学生物資源科学部の研究チームが成功した。

 植物の光合成能力を高め、成長を促進する試みは、関連するタンパクが葉緑体の中の多種類、複雑な高分子化合物であることからこれまで成功していなかった。奥忠武教授らは、種々の藻類を調べて、陸上植物の光合成機能に最もよく適合するタンパクを突き止めた。ノリから取ったそのタンパク遺伝子「シトクロムc6」をモデル植物としてよく研究に使われるシロイヌナズナに組み込んだ。

 この結果、光合成で生成するアデノシン三リン酸(ATP)が約2倍に増え、光合成能力が約1.3倍に高まったことが確かめられた。光合成の産物であるデンプンやクロロフィルなどの成分も増え、葉や根の成長が速まり、野生のシロイヌナズナに比べ背丈は約1.3〜1.5倍になった。

 バイオエタノールを初め、温暖化対策で注目されている生物資源の増産につながる研究成果だと、奥教授は話している。

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