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インド洋の異常低温現象の発生予測に成功

2006.10.17

 太平洋のエルニーニョ現象と同様、世界的な異常気象をもたらすダイポールモード現象の発生を予測することに、海洋研究開発機構の研究チーム(プログラムディレクター・山形俊男東京大学教授)が、成功した。

 ダイポールモード現象は、インド洋で起きる現象で、1999年に山形教授らが発見した。東部(ジャワ島沖)で海水温が下がり、反対に中央部から西部(ケニア沖)で海水温が上昇する。この結果、インドネシアやオーストラリア西部ではかんばつ、一方、ケニアなどの東アフリカ諸国では洪水をもたらすほか、インド北部からインドシナ半島、中国南部には大雨、極東アジア、日本の沖縄から西日本にかけては猛暑に見舞われることが、明らかになっている。

 通常、5〜6月に発生し、10月ごろに最盛期になり、12月には減衰する。

 インド洋は太平洋と異なり観測態勢が手薄だが、研究チームは、ヨーロッパの共同研究グループと開発した大気・海洋結合モデルを用いて、昨年11月の時点で、今秋の発生を予測した。

 最近の衛星などによる観測結果から、スマトラ島西岸沖で海面水温や海面水位の低下がはっきりと捕らえられた。また、強い降雨を伴う対流活動が通常より西方に移動していることも明らかになり、ダイポールモード現象が起きていることが、裏付けられた。

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