国際自然保護連合(IUCN、本部・スイス)が世界の絶滅危惧種をまとめたレッドリストの最新版を公表した。マダガスカルに生息するキツネザルの仲間、ヨーロッパハムスター、日本人になじみ深いマツタケなどが絶滅危惧種に認定された。
レッドリストは絶滅の恐れがある生物の生息状況などを調べて分類したリスト。世界的に信頼度が高いリストはいくつかある中で、1966年に最初に作成され、その後更新されてきたIUCNのリストが最も権威があるとされる。レッドリストには12万種以上の生物が掲載され、最新リストではそのうちの3万2411種が絶滅危惧種に認定されている。絶滅危惧種はその危急度に応じて3ランクに分類されている。
IUCNが9日公表した最新リストによると、マダガスカルに生息することで知られるキツネザルの仲間107種のうち103種が絶滅危惧種とされ、うち33種が絶滅危惧種3ランク中、最も深刻な危急度1番目のランクに認定された。IUCNは「焼き畑農業などによる森林破壊や違法な狩猟が主な原因」としている。また欧州中部地域に生息し、日本にも輸入されることがあるヨーロッパハムスターも危急度1番目にランクされた。
日本に関連する動物、植物では、高級キノコ食材であるマツタケが初めて絶滅危惧種に認定された。3ランクのうち3番目のランクだ。マツタケはアカマツなどの根に菌が付いて成長する。日本や中国、韓国などアジアのほか北欧などにも分布する。
IUCNはマツタケが分布する松林の面積が過去50年間で3割以上減ったと推定。松枯れや伐採などにより松林が減少していることなどから、マツタケの生育量も減っていると評価した。マツタケについては、環境省がIUCNとは別に準絶滅危惧種に指定している。
国内で消費されるマツタケの9割以上が外国産。今回IUCNのレッドリスト入りしたが、絶滅危惧種に指定されるだけでは国際取引は規制されない。