レポート

「日本科学オリンピック推進委員会 国際科学オリンピックの日本開催シンポジウム」

2008.04.03

理数学習支援部 / 科学技術振興機構

 日本科学オリンピック推進委員会(Japan Science Olympiad Committee:JSOC)は、国際科学オリンピック日本開催シンポジウムを「伸びる才能を育てよう!」をテーマに、3月30日立教大学池袋キャンパスにおいて、科学オリンピックの普及促進と教育関係者の意識の向上を目的として開催しました。

 国際科学オリンピックは、科学や数学に秀でた子どもたちを見いだし、その才能を伸ばすことを目的に開催されている科学コンテストの総称です。児童・生徒の科学技術に対する興味や関心を喚起し、広く科学技術分野をリードする人材を育成するための貴重な機会となっています。「知の祭典」とも呼ばれる国際科学オリンピックは、毎年分野毎に世界各地で開催され、日本でも、2009年に国際生物学オリンピック、2010年に国際化学オリンピックの開催が決定しています。

 シンポジウムは2部形式で行われ、日本科学オリンピック推進委員会を代表して6名のメンバーが科学オリンピックの意義や展望について、また3名の国際大会参加経験者がパネルディスカッションを行いました。

 最初に特別講演を行った有馬朗人科学技術館館長は「地球の将来のために〜科学技術の推進〜(環境問題とエネルギー)」と題して、エネルギー消費と環境を主軸に、地球環境がどのように変化するかを説明し、広い視野を持った若い英知への期待を述べました。

 続いて登壇した野依良治 独立行政法人理化学研究所理事長は「憧れと感動、そして志」をテーマに、自らの体験を振り返りながら化学を志したきっかけを語り、後進への励ましを送りました。野依理事長は「私の両親が湯川秀樹博士と出会ったことで、幼少のころに科学者への憧れが芽生え、父の会社の製品発表会に連れて行かれ、『ナイロンは石炭と水と空気から生まれる』と知り、科学ってすごい、とその道を志すことになりました。

 研究生活を通して出会った師や同輩達からは多くの影響を受けました。彼らとの交流は生涯の財産です。人との出会い、繋がりが若者を育てるのです。また若い人達にはどうすればよい答えが得られるかではなく、どうすれば本質的な問題が見出せるのかを考えて貰いたい。大切なのはゼロから始める強い気持ちを持つことです。」と個人的エピソードを紹介し、次世代を激励しました。

 また、第1部後半は、国際大会の日本開催に向けて、国際生物学オリンピック2009組織委員会副委員長 毛利秀雄東京大学名誉教授と、化学オリンピック日本委員会副委員長 渡辺正東京大学教授が各国際大会の準備状況を説明し、多くの高校生にこの機会に科学オリンピックに挑戦してほしいと呼びかけました。

 第2部では、物理チャレンジ・オリンピック日本委員会委員長 北原和夫国際基督教大学教授と、情報オリンピック日本委員会理事長 守屋悦朗早稲田大学教授が、それぞれ物理オリンピック、情報オリンピックの概要と、国際大会への代表選考を兼ねた国内大会の今後の課題などについて述べました。第2部の後半では、参加経験者である3名の大学生が、国際大会での思い出や子どもの頃の科学・数学との出会いを語りました。

 国際科学オリンピックの日本開催は、2003年の国際数学オリンピックに続き、国際生物学オリンピックが2009年7月12-19日茨城県つくば市で開催され、世界60の国と地域からそれぞれ4名の代表、合計240名ほどの生徒と200名の引率者が参加する見込みです。

 また、2010年7月19-28日には、国際化学オリンピックが東京都で開催され、70の国と地域から約280名の生徒と220名の引率者の参加が見込まれています。

日本科学オリンピック推進委員会について:
2007年3月に設立された日本科学オリンピック推進委員会は、国際大会の開催を支援すると同時に、一人でも多くの児童・生徒が科学や数学に興味を持ち、得意分野を伸ばしていける機会となるよう、各教科・科目の国内大会の拡充を進めています。
日本科学オリンピック推進委員会に関する情報は 日本科学オリンピック推進委員会 ホームページで入手できます。

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