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女性医療従事者に対する大学の支援対策は

掲載日:2012年3月14日

小児科や産婦人科の女性医療従事者が出産・育児に際しても勤務を継続し、職場復帰できる支援策をとる大学が増えていることが、文部科学省が13日発表した「周産期医療に関わる専門的スタッフの養成」事業に対する中間評価結果から伺える。

この事業は、救急搬送された妊婦が受け入れる病院が見つからず死亡するといった事例が相次いだことなどを受けて、文部科学省が2009年度から始めた。周産期医療に関わる人材の育成、女性医師をはじめとする女性医療従事者の勤務継続・職場復帰などに積極的に取り組む大学病院を支援するのが狙いだ。付属病院を持つ18の大学に対して5年間の期限付きで補助金が出ている。

妊婦のたらい回しとも言われた社会現象は、産婦人科や小児科の医師不足や地域による偏在があると指摘されている。一方、女性の医学部入学者は全体の3分の1を超えるまで増えており、この事業の対象となる小児科と産婦人科の女性医師割合もそれぞれ32%、26%と高い。中間評価でも、女性医師など女性医療従事者の支援取り組みが大きなポイントとなっている。

評価が高い取り組みとしては、東北大学が「女性医師アソシエ」を立ち上げ、メディカルクラーク3人、臨床心理士1人を雇用するなどの支援策により、女性医師育児短時間勤務者の雇用や、産休・育児休暇後の女性医師の職場・研究業務復帰の実績を挙げていることが紹介されている。

また、地域住民を中心とした「ファミリーサポーター」に、女性医療従事者の子どもの急病時や放課後の保育などを支援してもらう東京女子医科大学の地域を巻き込んだユニークな取り組みも高く評価されている。県内で開催される周産期医療に関する学会・研修会の会場に臨時託児所を設けたり、学内に「病後児保育室」を設置し、子どもが病気になっても育児中の女性医師などが安心して職務に専念できるようにした信州大学の取り組みも高い評価を得た。

ただし、日本全体としてみると女性医療従事者支援をはじめとする周産期医療に関わるスタッフ養成の取り組みは、まだまだ不十分であることが、中間評価からも伺える。意欲的な取り組み計画を持つと認められた大学だけが事業対象となっているにもかかわらず、及第点を得た大学の方が少ないからだ。当初目標を上回る効果・成果が期待できる「S」評価を得たのは東北大学だけで、現行の努力を継続することで当初目的を達成することが可能とされた「A」評価も、筑波大学、東京女子医科大学、信州大学の3大学だけだった。残りはB(一層の努力が必要)が8大学、C(当初計画の大幅な変更が必要)が6大学、と厳しい評価となっている。

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