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東海地震の予知はできるか?

掲載日:2011年5月14日

東北地方太平洋沖地震後、次に巨大地震の発生を最も警戒すべき地域はどこか。今回の被災地を相当大きな余震が襲う危険はまだ十分あるといわれるが、大方の地震関係者の関心は、中部電力浜岡原子力発電所の運転停止理由とされた東海地震と思われる。

地震予知連絡会会長で、気象庁の地震防災対策強化地域判定会委員でもある島崎邦彦・東京大学名誉教授を講師に迎えた研究会が12日、日本記者クラブで開かれた。島崎氏によると、東海地震に対する判定会の大きな関心は、予想震源域付近の地下で観測されるプレスリップと呼ばれる現象のようだ。気象庁のホームページによると、東海地震を起こす巨大な断層が一挙に動く直前に、震源域(断層)の一部でゆっくりしたすべり(プレスリップ)が観測される可能性があるとしている。

今のところ予想震源域の外側では半年に1回程度の頻度でこのプレスリップが観測されている。これが観測される場所が予想震源域の外側から内側に入ってくるか、といったことを監視し続けることで、東海地震発生の前兆が捉えられる可能性がゼロではない。こうした予知の試みをやめた方がよいか、続けた方がよいかは国民の皆さんが決めること―。島崎氏はこのように語っている。

恐らく無駄だからやめろということにはならないだろうが、うまくいく可能性はどれほどあるのだろうか。

駿河湾まで震源域が入り込んでいる巨大地震の可能性が、石橋克彦・東京大学理学部助手(当時、現神戸大学名誉教授)によって指摘されたのは今から35年前の1976年である。当時、過去に起きた東海地震の震源域自体が、はっきりしていなかった。石橋説のポイントは、1854年にマグニチュード(M)8.4の安政東海地震とM8.4の安政南海地震がわずか32時間の間隔で起きた際に、駿河湾から四国沖にかけての駿河トラフ-南海トラフの断層がすべて動いたというのが、まず第1点。次にこの海域で起きた巨大地震は1944年の東南海地震(M7.9)と1946年の南海地震(M8.0)で、この時は駿河湾を震源とする東海地震は起きなかった。従って、この地域だけは巨大なひずみが解消されてなく、いつ巨大地震を起こしてもおかしくない、というものだ。

東海地震予知の任務を負わされている地震防災対策強化地域判定会のやり方で不安な点は何か。まず、今回の東北地方太平洋沖地震でプレスリップに相当する地下の動きは観測されていない。さらに、過去に起きた東海-東南海-南海地震をみると、1854年の安政東海・安政南海地震の前に起きた宝永地震(1707年、M8.4)、さらにその前の慶長地震(1605年、M7.9)のいずれの地震も、安政東海・安政南海地震同様、駿河湾から四国沖までの広い範囲の断層がずれる超巨大地震(連動型地震)だったとみられることだ。

ところが、東海地震の発生する可能性が30年以内に87%と突出して高いとする地震調査研究推進本部の評価は、東海地震が次の東南海地震や南海地震と別に単独で起きるという前提に立っているように見える。しかし、これまでの巨大地震の起き方を見れば南海、東南海地震と連動して起こる可能性が十分ある、と考えた方が自然ではないだろうか。今回、三陸沖から茨城県沖にかけての広い範囲で起きた連動型地震のように。

連動型で起きるとしたら断層の割れ初めが、駿河湾なのか紀伊半島沖なのか四国沖なのか予想は不可能だろう。つまり、プレスリップがあったとしても、それを前兆として捉えようとするなら東海地震の予想震源域だけに注意を向けていては不十分、ということではないだろうか。

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