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IT産業脱ガラパゴス化への道は?

掲載日:2010年5月24日

NPO法人ブロードバンド・アソシエーションは、1年間にわたる「IT国際競争力研究会」の検討結果を18日、通信・電機・コンテンツ業界への提言として発表した。

研究会は、別名「超ガラパゴス研究会」と名付けられているように、技術そのものでは世界の先頭を走っているにもかかわらず、製品市場では海外メーカーの後塵を拝しているIT(情報技術)産業の再生の方策を探った。携帯電話サービス「iモード」の産みの親として知られる夏野剛 氏・ドワンゴ取締役、慶應義塾大学特別招聘教授を委員長に産官学からのメンバー25人で構成されている。

提言は、通信業界、電機メーカーセクター、コンテンツ業界それぞれあてに出されており、経営思想を含め抜本的な見直しを求める厳しい注文が並んでいる。

最も厳しい現状分析と対応を迫られているのは、電機メーカーセクターのようだ。

  • 「大半の製品を手掛けているため、人、カネ、技術などのリソースが非効率に分散し、設備投資、研究開発投資、販売投資が中途半端となり、競争力をなくし、国内市場だけでシェアを分け合うガラパゴス化している」
  • 「世界の同業他社が専業化、巨大化する中で、製品、生産の規模は小さくなり、負け続け、業績が悪くなっても再編が起こらない。経営者、従業員もリスクを取らないアントレプレナ精神を欠いたサラリーマンの集団になってしまっている」
  • 「半導体、ディスプレイ、テレビ・DVDなどの情報機器は、デジタル化により品質格差が小さくなり、グローバル金融化により資金が調達しやすくなり、さらに多数の日本企業が自ら技術流出をさせてしまった結果、アジア勢のキャッチアップを加速的に招いた」

こうした現状分析を突きつけられた上で、以下のような対応が必要だとされている。

  • 「コングロマリット(業界)再編」
  • 「不採算事業から撤退、成長領域への集中」
  • 「国内で圧倒的なシェアを築けたら、海外に進出する戦略」
  • 「情報発信力を高め、技術力を世界にブランディングする」
  • 「技術をインテグレーションし、サービスを創造する」
  • 「斬新な技術に対する評価や支援をするメカニズムとマーケットを作る」
  • 「研究と事業の両面を理解できるインターメディエータ(コネクター)人材を育て、引き上げる」

いずれをとっても簡単にはできることではないだろうが、そうしないと専業化、巨大化している欧米、韓国の同業者からはますます水を開けられる、ということのようだ。

通信業界に対しては、「経営陣の多様性を取り入れるべきだ」「海外展開についての考え方、長期戦略を明確にすべきだ」と注文を付ける一方、「グローバルできるポテンシャルがあることを認識すべきだ」と背中を押すような提言になっている。

コンテンツビジネスについては、世界の評価が高いアニメに代表される実績を認めつつ、収益構造の変化、メディアの多元化などによりすでに価値あるコンテンツを生み出しにくくなっている、と現状分析は厳しい。

提言も「“Fun”な生活空間を創る力を産業競争力の源泉に!」といった、業界外の人間にはやや理解し難いものとなっている。

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