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緊急地震速報で問われること

掲載日:2008年5月9日

8日起きた茨城県沖の地震では、緊急地震速報が結果的に期待されるタイミングに出なかった。4月28日に起きた沖縄・宮古島近海の地震でも、震度5弱の地域があると予測し、初の緊急地震速報を出したが、実際は最大震度4だったために、結果的に出さなくてもよかった例となっている。

2回続けて、一般から見れば期待はずれだったということから、当然、各新聞の8日夕刊は「また間に合わず」「また機能せず」などの見だしで今回の事態を報じている。

もともと現時点の緊急地震速報システムには「地震の震源に近いところは犠牲にして、遠いところは助けようという矛盾を抱えたシステム。震度の予測についても、震度5の予想が実際には4になったり、プラスマイナス1程度の誤差がある。予測の誤差をもっと小さくしないと、止めなくてもよかった鉄道などを止めることによって、経済的な損失も与えてしまう恐れがある」(岡田義光 氏・防災科学技術研究所理事長、2007年10月15日インタビュー「役に立つ地震学目指して」第3回「不確かさを社会に伝える努力も」参照)という制約があることが指摘されていた。

今回の結果について、気象庁の担当課は「マグニチュードを算出する方法を見直すことも検討したい」「もう少し早い段階で大きく推定できなかったか、技術的な検討を進める」などと釈明しているようだが、一般の人間にとっては新聞などの報道で知らされるだけだ。

緊急地震速報システムは、気象庁と防災科学技術研究所の共同研究から生まれたが、一方の当事者である前述の岡田義光・防災科学技術研究所理事長は、次のようにも指摘している。

「精度の高い予測に近づける努力を続ける一方で、地震の予測に関してはどうしても不確定なところが残るということを社会にどう伝えるか、これがこれからの大きな問題」(同じくインタビュー「不確かさを社会に伝える努力も」参照)

このシステムが社会に定着するには技術的な改良だけでなく、一般国民に対する丁寧な説明が必要ということである。

地震発生の翌9日午前9時の時点で、気象庁ホームページで見ることができたのは、以下のニュースリリースとその後に発表された震源要素と発震機構データ程度である。これで十分な説明になっているといえるのだろうか。

2008年5月8日01時45分ころの茨城県沖の地震について
5月8日01時45分ころ、茨城県沖の深さ約40kmで、M6.7(速報値)の地震がありました。この地震により、茨城県水戸市と栃木県茂木町(もてぎまち)で震度5弱を観測したほか、関東地方を中心に、北海道地方から近畿地方にかけて震度4~1を観測しました。この地震により、太平洋沿岸では若干の海面変動が観測されています。

本地震の発生した地域では、7日夕方からM4~5の地震が発生し始め、本地震以降もM5クラスの地震が散発的に発生しています。この地域での地震は続発する傾向があり、今しばらくM5~6クラスの地震が続く可能性があります。

茨城県で震度5弱以上を観測したのは、2005年10月19日に発生した茨城県の地震(M6.3)で震度5弱を観測して以来です。また、栃木県で震度5弱以上を観測したのは、2000年7月21日に発生した茨城県沖の地震(M6.4)で震度5弱を観測して以来です。

なお、この地震に対して緊急地震速報(警報)を01時46分32秒に発表しました。

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