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IPCC統合報告書は温暖化論争を決着させるか?

掲載日:2007年11月19日

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、日本時間17日、第4次評価報告書を公表した。この報告書をまとめたIPCC総会(スペイン・バレンシア)には、日本人2人を含む23人の報告書執筆者が参加、さらに文部科学省、経済産業省、気象庁、環境省などから15人が出席している。

報告書要約の日本語訳(速報版)を明らかにした文部科学省、経済産業省、気象庁、環境省連名のプレスリリース(17日付)は、「地球温暖化対策のためのさまざまな議論に科学的根拠を与える重要な資料として評価される」と記している。

日本の新聞各紙の報道も「決着した温暖化論争」(日経新聞18日朝刊「視点」面、塩谷喜雄論説委員)、「温暖化で『最後通告』」(朝日新聞17日夕刊、「解説」記事)、「生態系存亡に警告」(東京新聞17日夕刊「解説」記事)など、報告書が指摘した温暖化の原因、現状、見通しについてこれまで以上に重く受け止める見出しが目立った。

報告書要約によると、「気候システムの温暖化には疑う余地がなく、大気や海洋の全球平均温度の上昇、雪氷の広範囲にわたる融解、世界平均海面水位の上昇が観測されていることから今や明白である」、「現在の政策を継続した場合、世界の温室効果ガス排出量は今後二、三十年増加し続け、その結果、21世紀には20世紀に観測されたものより大規模な温暖化がもたらされると予測される」とされている。

対応策、展望については、技術と並び、経済的投資の重要性が指摘されているのが、あらためて目を引く。

「ボトムアップおよびトップダウンの研究では、今後数十年にわたり、世界の温室効果ガス排出量の緩和ではかなり大きな経済的ポテンシャルがあり、それにより世界の排出量で予想される伸びを相殺する、または排出量を現在のレベル以下に削減する可能性があると指摘している」、「既存技術および今後数十年で実用化される技術により温室効果ガス濃度の安定化は可能である。今後20~30年間の緩和努力と投資が鍵となる」などだ。

温暖化論争は、これまでの科学的議論を踏まえて、政策の問題に焦点が移りつつあるように見えるが、日本社会の対応は果たして妥当かどうか。

塩谷喜雄・日経新聞論説委員は、異論、反論というのが進歩の糧であることを丁寧に指摘した上で、「政治や経済、行政の責任者は、この科学的な到達点をきちんとわきまえるべきだろう」と提言しているのだが…。

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