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健康戦略も政府の押し付けは駄目

掲載日:2007年8月9日

「子どもに朝ごはんを食べさせましょう」「食事中はテレビを消しましょう」、そんな個別のことを言っても何も変わりません―。教育再生会議の議論に対する批判かと思う人もいそうだが、違う。4月に政府が公表した「新健康フロンティア戦略」を、新健康フロンティア戦略賢人会議座長としてまとめた黒川清氏(内閣特別顧問)が、「医療白書2007年度版」の中で言っている言葉だ。

では、新健康フロンティア戦略とは、これまでの医療・健康政策と何が違うのか。黒川氏のブログ(8月6日付『医療白書 2007年度版』)から、探ってみる。

戦略の骨子として氏は「家庭の役割を見直し、地域コミュニティを強化すること」と「技術と提供体制の両面からのイノベーションを通じて、病気を患った人、障害のある人、年をとった人も、持てる能力をフルに活用して充実した人生を送ることができるように支援すること」を2本柱に挙げている。

しかし、「家庭の役割を見直す」が、すぐに「子どもに朝ごはんを…」や「食事中はテレビを消しましょう」といった各論になっては駄目。「みんな『わかっているけどできない』背景があるから」というわけだ。

核家族化と少子化のために「それまで培ってきた文化や伝統も含めて子育ての知恵は伝承されず、ぷっつり途切れて」、「女性が働きに行こうとしても、子育てとの両立が難しく」、「高齢者はやりがいを持てず」、結局「老いも若きも、孤独やストレスからうつ病になるケースが急増している」。

こうした状況は「ふだんから地域の人とのつきあいがあれば」変わる。つまり、「健康を家庭と地域全体で支援していくという発想がベース」でなければならない。政府の仕事も「自立的コミュニティが地域から出てきたら、それを広げてあげる」ことだとして、黒川氏は次のような例を挙げている。

「文部科学省は小学校を地域に開放することを促進する。子育てのNPOを応援する」、「厚生労働省は全国に約550ある保健所を情報発信基地として、保健師に地域をつなげる仕事を任せる」、「農林水産省は『夏休みには田舎へいらっしゃいプロジェクト』をする」。

このようなことをすることによって「子どもは自然に触れ農業体験もできるし、高齢者の生きがいにもつながる」。

「大切なことは『自分たちの健康は自分たちで守ろう』という意識を育てること」で、「中央政府が『こうしろ』と一律に決められる時代ではなくなった」ということのようだ。

(引用は「医療白書 2007年度版」=黒川清氏の当該ブログサイトから)

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