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『かぐや』で月の何が分かるのか

掲載日:2007年6月26日

宇宙航空研究開発機構の月周回衛星「かぐや」(SELENE)が、今夏、H-ⅡAロケット13号機により打ち上げられる。米アポロ計画以来の本格的月探査計画といわれる「かぐや」によって解き明かされると期待されているものは何か。日経サイエンス最新号「8月号」が、特集記事を載せている。

かぐやは、観測手段として可視光のほかに、ガンマ線、X線、赤外線というさまざまな眼を持つ。さらに自ら“光”(サーチライト)を発し、月の表面から跳ね返ってくる反射“光”をキャッチして月の素顔を調べるレーザー、電波観測装置も備えている。これらによって、月の表面にどのような元素や鉱物、岩石が分布しているかが分かる。電波の反射波を分析することで「最深5kmくらいまでの地下構造が分かると考えられている」(加藤學・宇宙航空研究開発機構固体惑星科学研究系研究主幹・教授)。

では、そもそも最も解明が期待されている月のなぞとは何か。アポロ宇宙船が月面から持ち帰った岩石の研究以降、何が分かって、結局何が分かっていないのか。中島林彦記者が「月の起源と進化に新しい光」で分かりやすく解説している。まず月というのは太陽系の中でも特異な衛星であることが分かっている、という。

「衛星として異様に大きい。…月の質量は地球の1/80だが、他の太陽系の惑星に属する衛星の質量は最大でも母惑星の1/1000程度」、「角運動量も大きい。…地球の自転と月の公転を合算した角運動量は、他の地球型惑星・衛星系と比べてずば抜けて大きい」

一方、月と地球を比べると「月は地球に比べ鉄が非常に少ない。地球の鉄のコアは全質量の約30%を占めるが、…月の鉄のコアは全質量の4%以下と見積もられている」。同時に「月は地球とほぼ同じ約45億年前に、原始太陽系のほぼ同じ領域に誕生した」ことが、アポロ計画の成果として分かっている。

以上をうまく説明できる月の成因説が「火星サイズ以上の原始惑星が原始地球に衝突したとする巨大衝突説」という。巨大な原始惑星同士が衝突して、結果的に対惑星比(地球に比べ)としては異常に大きな衛星が生まれた。この詳しい道筋は、日経サイエンス誌の記事に譲るとして、中島林彦氏の記事の締めの言葉を紹介しておく。

「1年間のかぐやの観測が成功裏に終了したとき、どんな月の姿が見えてくるのか、研究者が予想すらし得なかった発見がもたらされる可能性がある」(引用は、日経サイエンス8月号 から)

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