サイエンスポータル SciencePortal

ニュース - 速報・レビュー(レビュー) -

もんじゅに12年ぶりナトリウム注入

掲載日:2007年5月24日

日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」に、23日、12年ぶりに冷却材ナトリウムが注入された。「もんじゅ」が完成したのは、1991年。初送電を行ったわずか4カ月後に2次冷却系ナトリウムの漏えい事故を起こし、以来、運転は停止している。

開発スケジュールの長い中断もあってか、各新聞の報道も淡々とした印象だ。開発中断期間における原子力委員会の議論などを受けて、高速増殖炉と再処理技術を柱とする核燃料サイクル技術開発が、昨年スタートした「第3期科学技術基本計画」で、国家基幹技術に据えられた。高速増殖炉が必要だとする政府の考え方は、はっきりしている。

他方、一般国民の見方がどうかとなると、まだ、関心は今ひとつというのが実態ではないだろか。

ナトリウム注入を伝える各新聞記事に、以下のような指摘が見られた。

「今後、巨額な費用に見合う成果が出せるかは不透明だ」(朝日新聞23日夕刊2面「解説」)

「通常の原発(軽水炉)は原子炉の熱をタービンに伝えるのに水を使うが、もんじゅは、炉の特性のため、高温の液体ナトリウムを使う。ナトリウムは空気中の酸素などと反応して自然発火する性質があり、扱いは水よりずっと難しい。このため建設費も高くなる」(毎日新聞24日朝刊総合面「ニュースの焦点」)

毎日新聞の同じ記事は、「実証炉で設計が変わる以上、運転で得るものは少なく、2000億円をかけて再開する価値はない」という市民団体「原子力資料情報室」共同代表、伴英幸氏の批判も紹介している。

費用に見合うプロジェクトかどうか、という問題は難しい。例えば、核融合炉の研究開発に投じられる費用が妥当か否かといった議論は、高速増殖炉開発より不確定さがはるかに大きく、到底、素人の手に負えないように見える。

「実証炉で設計が変わる以上…」という議論も、「実証炉は原型炉の設計思想に近ければ近いほどいいのか」という別の議論を呼ぶかもしれない。

ナトリウムの危険性については、それらの問題点に比べれば、一般の人間にも判断がしやすいように見える。

ナトリウムは自然の状態(常温常圧9でも、空気中の酸素と反応して燃え出す性質があるから、軽水炉の冷却材である水に比べると厄介な物質だ。常温常圧下で比較したなら、これははっきりしている。

しかし、実際に運転中の冷却材として見た場合、ナトリウムが水に比べて、どれほど危険なのかについては、どうなのだろう。軽水炉の一次冷却材である水は、加圧水型炉を例に取れば運転中、沸騰しないよう、300℃以上、約150気圧という高温高圧に維持されている。身の周りにある普通の水とは、全く別の物質といってもいい。もんじゅの冷却材、ナトリウムは液状で300~500℃という高温だが、圧力は高くない。

危険性という観点から両者を比較するなら、一般の人間が判断しやすいようもっと分かりやすく説明されてもいいのではないだろうか。

ページトップへ