レビュー

官民一体のウラン外交を評価

2007.05.01

 カザフスタンを訪問中の甘利経済産業省とマシモフ・カザフスタン首相が30日発表した共同声明、さらに同行の電力会社や商社が、カザフスタンの関係機関と結んだ24に上る覚書締結によって、同国からのウランの安定的な輸入が可能になった。

 この結果を伝える1日の新聞各紙朝刊の評価は、非常に高い。

 「日本のエネルギー安全保障上、大きな成果と言える。とりわけ、ウランの年間輸入量の半分以上を『確保』できたことの意味は大きい」(読売新聞)、「日本のエネルギー資源の安定確保に向けた展望を大きく開いた。…“官民一体”を前面に、将来の資源調達戦略の構築へ確かな布石を打った」(産経新聞)、「日本のウラン消費量の3-4割(年3千トン超)をカザフから確保できるようになる。技術供与をテコに官民でエネルギー確保を狙う大規模な資源外交の第一弾となる」(日経新聞)、「イランのアザデガン油田やロシアの石油・天然ガス開発事業『サハリン2』などで権益縮小を強いられ、東シナ海の天然ガス田開発問題でも中国と対立する日本にとって、資源外交で久々の『得点』と言える」(朝日新聞)…。

 まさに「久々の」好意的報道そろい踏み、と言ってよさそうだ。

 今回の両国合意のポイントは、「民間の契約を政府間の枠組みで後押し」(日経)した官民一体の行動、特に「資源供給国から加工国への脱皮を急ぐ」(朝日)カザフスタンに対して、人材、技術、資金面にわたる総合的支援策を、資源輸入の見返りに日本が提示したことにあるようだ。

 読売新聞によると、日本とカザフスタンの企業が合意・署名した案件には、「原子燃料事業、原子力発電所建設での協力に向けた検討開始」(東芝−カザフスタンの国営企業・カザトムブロム)、「新規ウラン鉱区開発事業推進のため、協力関係の構築」(丸紅、東京電力、中部電力、東北電力、カザトムブロム)、「核燃料サイクルでウラン鉱山開発以外の分野での協力可能性の検討」(住友商事、関西電力、カザトムブロム)、「原子力燃料分野での協力を協議」(三菱原子燃料、カザトムブロム)、「日本企業のウラン引き取りに伴う資金調達を促進するために協力」(独立行政法人・日本貿易保険、カザトムブロム)などが含まれている。

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