レビュー

抗加齢医学のすすめ

2007.01.29

 「老後に夫と同居→妻死亡リスク2倍」。29日の朝日新聞朝刊第2社会面にこんな見出しの記事が載っている。

 愛媛県総合保健協会の藤本弘一郎医長による調査結果を基にした記事だ。松山市に隣接する旧重信町(現・東温市)の60〜84歳の男女3,100人を対象に「配偶者の有無や、喫煙習慣、糖尿病や高血圧の治療歴など17項目を答えてもらった」。

 「約5年後の2001〜02年に対象者の生死を確認。調査中に死亡した男女計200人と生存していた約2,900人を比べ」たところ、「75〜84歳では、女性は夫がいる方が、いない場合に比べて死亡リスクが2.02倍に高まった」という。

 「一方、男性は妻がいる場合、いない場合に比べて0.46倍に下がっていた」

 だいぶ昔であれば、「愛媛県1市の調査結果が日本全体を代表すると言えないのでは」などと抵抗する男性の声が、一定の説得力を持ったかもしれない。しかし、今の時代、こうした問題に関してはそれほど地域差はない、と考える人が多いのではないか。

 高齢夫婦の場合、夫は妻のストレスの原因になり、逆に妻がいなくなった夫はがっくり、という傾向は、どうも否定できない、ということのようだ。この日の朝、TBSのラジオ番組「森本毅郎スタンバイ」の冒頭で、森本氏がこの記事を紹介していた。

 さて、男性に心地よくない記事だけ紹介するのも何だから、この朝のラジオ番組からもう一つ。

 「人間の寿命は125歳くらいまでは延びる」。坪田一男・慶応大学医学部教授が、NHKラジオの「あさ一番」で、語っていた。昨年、暮れに一度放送したがあまりに反響が大きいので、再放送という。

 必要なホルモンを加えてやるといったことで、老化は防ぐことができる。そもそも1900年当時、人の平均寿命は42歳、1950年は58歳だった。1950年といえば、漫画「サザエさん」が(朝日新聞で)始まったころ。サザエさんの年齢はいくつという想定だったと思います? 24歳です。波平さん(サザエさんの父親)は58歳という設定。今の人間から見たら、2人とももっと年上という印象でしょう…。

 そんな、坪田教授の話を聞いて、年を取るのはいかんともしがたいこと、とあきらめる必要はないかも、という気持ちになった人も多いのではないだろうか。

 坪田教授らが中心になって6年前に設立した日本抗加齢医学会は、いまや5,000人の研究者が参加する学会に成長しているそうだ。(朝日新聞の引用は東京版から)

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