日米両国は、BSE(牛海綿状脳症)の危険部位が混入していたことから輸入停止となっていた、米国産牛肉の輸入を再開することで、21日に合意した。
この問題では、日本と米国の安全管理に対する取り組みと考え方の違いが浮き彫りになった。今後、2度と同じような問題は起きないだろうか。新聞各紙の論調には、米国の安全対策に対する不安を指摘するものが多かった。
ことは国民の安全・安心に直接かかわる話。安全に確信が持てるまで輸入を認めないという日本の側に理がある。輸入再開までに時間がかかるのは当然…。こう考える一般の国民は多いだろう。
そのような中で、23日の朝日新聞朝刊、経済面の記事が、この問題の別の側面を伝えており、目を引いた。「消費・安全局 農政変えた?」という農水省内の事情を書いた記事である。
「牛肉の輸入に伴う関税収入は年間約1千億円。この巨額なカネは生産局OBらが天下る関係団体などを通じて畜産業界にばらまかれている。米国からの輸入停止が長期化し、補助金の原資が先細ることを懸念する声が、畜産農家や生産局には高まっていた」
輸入停止が長引くと、補助金の源である関税収入も途切れてしまい、困る畜産農家や、農林水産省内の局がある、ということだろう。
これに対し、一般消費者の立場に立って生産局と張り合ったのが、同じ農水省の消費・安全局という。
同局は、誕生して3年しかたってなく、中川担・局長は、同省で「どちらかといえば脇役」の技官。中川局長以外にも「同局には事務官以外の幹部が多い」。
「局長が、キャリア事務官でなかったことで『かえって外野からの圧力をはね返しやすくなった』と農水省関係者は指摘する」と記事は伝えている。(引用は朝日新聞東京本社版から)