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海底地震計データで新幹線を早期緊急停止 防災科技研とJR3社が協定を締結

掲載日:2017年10月31日

南海トラフなど海底下を震源とする大地震が起きた際に海底地震計データを活用して新幹線を少しでも早く緊急停止させることを目的とする相互協力協定を、防災科学技術研究所(防災科技研)とJR3社が30日に締結した。太平洋海底の地震計データをそれぞれ配信、受信する内容で、JR東日本が運行する新幹線の一部区間で11月1日から導入されるという。

現在、海底の主な地震観測網としては 東日本太平洋沖の日本海溝沿いに置かれた「S-net」と、南海トラフ巨大地震の想定震源域である紀伊半島―四国東部沖合海底に設置された「DONET」の2つがあり、いずれも防災科技研が運用している。2つとも海底に設置した機器からケーブルでデータを送り、地震や津波をリアルタイムで観測している。海底下を震源とする大地震を素早くとらえ、現行の緊急地震速報や津波警報の精度向上が狙いだ。

海底地震計データの送信には防災科技研と鉄道総合技術研究所が共同開発したデータ伝送方式が使われる。

JR東日本、東海、西日本のJR3社は現在、海岸沿いの陸上などに地震計を設置し、揺れを感知して新幹線を緊急停止させる地震防災システムを既に備えている。しかし、2011年の東日本大震災や今後発生が心配される南海トラフ巨大地震のような、海底下のプレートを震源とする大地震に対しては揺れの把握に時間がかかるとされている。

防災科技研などによると、11月1日からJR東日本管内の東北新幹線・東京駅-福島県内の駅間と、上越新幹線・東京駅―熊谷駅周辺間の2区間でデータの利用を開始するという。今後両新幹線のほかの区間や東海道、山陽両新幹線にも順次導入され、新幹線の現行より早い緊急停止に活用される。

南海トラフ巨大地震は、東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)で将来起きることが心配される地震。⽇本列島が乗る陸側プレート(岩板)にフィリピン海プレートが沈み込む動きでたまったひずみが解放されて発生する。大津波などにより最悪死者は30万⼈を超え、経済被害が220兆円に上るとの政府試算がある。

現行の、また新しい新幹線地震防災システムは直下型地震発生には対応できない、指摘されており今後の防災・減災上の大きな課題だ。

画像1 鉄道の地震防災対策に活用される海底地震津波観測網(提供・防災科学技術研究所)
画像1 鉄道の地震防災対策に活用される海底地震津波観測網(提供・防災科学技術研究所)
画像2 現行の新幹線地震防災システム(提供・防災科学技術研究所)
画像2 現行の新幹線地震防災システム(提供・防災科学技術研究所)
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