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新素材CNFの年間500トンの量産を開始 NEDOプロジェクトで日本製紙石巻工場

掲載日:2017年4月26日

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日本製紙は25日、NEDOが推進するプロジェクトの一環として同社石巻工場(宮城県石巻市)で建設が進んでいた新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の量産設備が完成して稼動を開始したと発表した。CNFは軽く強いナノ繊維で広い分野での応用が期待されている新素材。NEDOによると、同設備は年間500トンの生産が可能で世界最大級の量産設備という。

CNFは植物細胞壁の基本骨格物質である「セルロースミクロフィブリル束」の総称。繊維1本の直径は数ナノ~数十ナノ(1ナノは10億分の1)メートルしかないが、鋼鉄と比べて5分の1の 軽さでありながら強度は5倍以上あるとされる。自然界に豊富に存在する植物由来の「持続型資源」で、石油系プラスチックの代替や構造材の補強用繊維など広い分野での利用可能性が注目されている。

東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明(いそがい あきら)教授らが「TEMPO触媒酸化法」と呼ばれる手法を開発し、木材からCNFを簡単に取り出すことを可能にしてCNF生産の効率とCNF構造の均質性を大幅に改善する応用技術に道を開いていた。磯貝教授は京都大学生存圏研究所の矢野浩之(やの ひろゆき)教授とともに「CNFの高効率製造法の開発や将来の応用可能性拡大に貢献した」として2016年の本田賞(本田財団が顕彰)を受賞している。

NEDOプロジェクト(ナノテク・先端部材実用化研究開発/セルロースシングルナノファイバーを用いた環境対応型高機能包装部材の実用化技術開発)の下、日本製紙の技術陣はTEMPO触媒酸化法を導入し、木材パルプを原料にCNFを効率的に量産する技術の実用化研究開発を進めてきた。完成した量産設備ではTEMPO触媒酸化法により化学処理した木材パルプから繊維幅3~4ナノメートルの均一なCNFを生産することができるという。

日本製紙石巻工場は石巻港西岸に立地しており、2011年3月11日の東日本大震災時には巨大津波の直撃を受けた。約1,300人の従業員は付近住民を誘導しながら全員避難して無事だったが工場設備は壊滅的被害を受けた。しかし大震災約2週間後に当時の社長が同工場の早期復興を宣言。被災から約半年で一部設備の操業を再開し、当時「被災者に元気を与えた」と伝えられた。

日本製紙石巻工場のCNFの量産設備(提供・日本製紙/NEDO)
日本製紙石巻工場のCNFの量産設備(提供・日本製紙/NEDO)
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