ニュース

認知症予防へ大規模調査 生活習慣の発症リスク探る

2016.06.27

 国立精神・神経医療研究センターが、認知症発症につながるリスクを探る大規模調査を始める。調査は、発症予防に役立てるのが目的。40歳以上の健康な人に登録してもらい生活習慣実態をアンケート形式で調べて分析する。同センターは2016年度8千人、5年間で4万人の登録を計画しており、初年度は7月5日から登録を受け付ける。患者でない健康な人を対象にした長期間にわたる大規模調査はこれまで例がないという。

 同センターと国立長寿医療研究センターの研究グループは、厚生労働省の「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の一環として発症予防を目的とした「インターネット健常者登録システム」を開発した。このシステムでは、登録希望する40歳以上の健康な人に氏名、年齢、性別などの基本情報をインターネット登録してもらい、病歴や睡眠、食生活などに関する約160項目のアンケートに答えてもらう。回答時間は25分程度で終わるという。その上で自宅電話や携帯電話で簡単な記憶力のチェックを受け登録者は結果を翌日以降閲覧できる。アンケートとチェックは半年ごとに繰り返し行われる。

 登録者には、認知症に関する最新の医療情報が提供され、希望者には開発中の治療薬や予防薬の治験に参加案内もするという。研究グループは、得られる大量のデータを分析。記憶力低下につながる生活習慣の要因を詳細に分析。結果を発症予防対策などにつなげたいとしている。

 精神・神経医療研究センターによると、認知症は、長期間かけてごく軽い認知障害から段階を経て重症化する。2025年には国民の4人に1人が75歳以上という高齢化社会になり、認知症になる人は、12年の462万人から25年には700万人になるという。今後高齢化が確実に進む日本では、認知症の発症予防や早期発見、治療法の研究が医療上の重要課題だ。発症メカニズムの研究も進んでいるが、食生活や運動などの生活習慣が発症に関係すると指摘されている。

関連記事

ページトップへ