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薬効かない社交不安症に認知行動療法が有効 医療保険適用に

掲載日:2016年6月8日

日々の何気ない人付き合いの場面でも強い恐怖を感じてしまい日常生活に支障をきたす「社交不安症(対人恐怖症)」には通常抗うつ剤治療が行われるが、この治療が効かない患者に「認知行動療法」を併用すると半数近い患者の症状がほぼ消えた、との臨床試験結果がまとまった。宮崎大学と千葉大学の研究チームが7日発表した。

「人と向き合って話をするのが苦手」「人前で話すと緊張する」と感じる人は多いが、そうした不安や緊張が極端に出てしまい、手足の震えや、めまい、発汗といった身体症状が出て重症になると多くの場合は社交不安症と診断される。自然に症状が軽くなるケースもあるが、重症が続く患者に対しては抗うつ剤投与が標準的な治療法になっている。

研究グループによると、抗うつ剤を投与しても7~8割は症状が改善せず、新たな治療法が求められていた。宮崎大学テニュアトラック推進機構看護学系の吉永尚紀(よしなが なおき)講師と千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの清水栄司(しみず えいじ)教授らは、抗うつ剤治療の効果が出ていない臨床試験を希望する患者42人を、抗うつ剤治療を続けるグループと、認知行動療法を加えるグループに分けた。認知行動療法は、対象グループの患者に対して熟練の治療者が週1回50~90分、計16回実施した。

研究グループが約4カ月後に症状の改善の有無などを比べると、認知行動療法を加えた患者の47.6%の症状がほぼなくなっていた。抗うつ剤投与治療グループについては、症状の改善を確認できなかったという。

認知行動療法は、代表的心理療法の一つ。1960年代に「認知のゆがみ」に焦点を当てその認知を修正していく「認知療法」として提唱され、70年代に心理療法として確立した。90年代からは「認知行動療法」と呼ばれるようになった。専門知識や資格を持った治療者が、患者が抱える生活上の問題について「ものごとの受け止め方や考え方(認知)」や日常のさりげない「行動」に焦点を当てながらカウンセリングし、患者自身が認知や行動パターンに気付きながら問題解決に取り組み、症状を軽減しいていく。

研究グループによると、社交不安症に対する認知行動療法の併用効果が臨床試験で確認されたのは世界初という。こうした臨床試験が行われたこともあり、社交不安症に対する認知行動療法に4月から公的医療保険が適用されている。

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