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iPS細胞から安全性高い心筋を作製 慶應大チームが成功

掲載日:2016年4月5日

慶應義塾大学医学部の研究グループがこのほど、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、がん化の心配がほとんどない高純度の心筋細胞を作製することに成功した、と発表した。この心筋細胞を直接心臓に注射して移植することにより効果的な心臓機能回復が期待できるという。研究グループは、重症心不全患者に対する臨床研究を来年中に学内の審査委員会に申請する。

iPS細胞の培養では、細胞に成長しきれない未分化な細胞が残ってしまうことがあり、がんになるリスクが指摘されていた。慶應大学医学部の福田恵一(ふくだけいいち)教授(循環器内科)らは、マウスのiPS細胞実験で、細胞の主要エネルギー源であるブドウ糖を培養液から取り除いて心筋特有のエネルギー源である乳酸を入れることにより高純度の心筋細胞を作ることに既に成功している。

研究グループは今回、ヒトの細胞ではブドウ糖とともにグルタミン酸もエネルギー源となっていることを突き止め、ヒトのiPS細胞から、ブドウ糖だけでなくグルタミン酸も取り除くことで高純度の心筋細胞を作製することに成功した。がん化する可能性がある未分化細胞の残存率は0.001%未満だったという。

国内で心不全による死亡者は年間約4万3千人。重症心不全患者による最終的な治療方法として心臓移植や人工心臓埋め込み治療があるが、臓器提供者(ドナー)不足や人工心臓の耐久性などの問題があり、心筋の再生医療実現が待たれている。

今回成果を発表した慶應大学とは別に、大阪大学の研究グループがiPS細胞から作った心筋細胞をシート状にして心臓に移植する臨床研究の準備を進めている。

この研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「再生医療の実現化ハイウェイ」、科学技術振興機構(JST)「健康研究の実用化加速のための研究・開発システム関連の挨路解消を支援するプログラム」などの助成によって行われた。現在AMED理事長の末松誠(すえまつ まこと)慶應大学医学部客員教授(前医学部長)も一連の研究に参加、指導している。

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