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水爆実験成功発表を公式に疑問視 米大統領報道官

2016.01.07

 北朝鮮が「水爆実験に成功した」と発表したことについて米政府当局者がこれを疑問視する見解を公式に示した。アーネスト米大統領報道官は米東部時間6日午後、「水爆実験を成功させたとの北朝鮮の主張は(米政府の)初期分析と一致しない」と述べ、水爆だったかどうかは疑わしいとの認識を示した。同報道官の発言内容は日本時間7日、米ホワイトハウスのホームページで公開された。

 同報道官は、地震波の分析などから、北朝鮮が核実験を実施したと結論付けた、とした上で「過去24時間に起きたことは、北朝鮮の技術的、軍事的な能力についての評価を変えるものではない」と述べ、水爆開発には成功していない、との見方を示した。

 会見の中で同報道官は具体的な根拠は示さなかったが、米政府、米情報機関は、水爆保有国しか持たない極秘の分析データを既に入手しているとみられる。韓国政府や日本国内外の核専門家の一部も「水爆実験成功」を疑問視しているが、実験の詳細は依然不明。今回の実験が、従来の核実験とは異なり、「水爆を開発するための過程にある実験」であった可能性は残る。また、地震波や大気中に出た放射性物質の分析だけでは「水爆ではなかった」と断定することも難しい。

 水爆も原爆も破壊的なエネルギーを放出するが仕組みはまったく異なる。原爆は「核分裂」反応を、水爆は「核融合」反応を利用する。水爆は、エネルギーが原爆の数百倍以上で原爆よりはるかに大きい破壊力がある。核融合を起こすためには1億℃以上の超高温が必要で起爆剤には原爆が使用される。水爆実験でも大量の放射性物質が放出されるのはこのためで、1954年に米国が太平洋・ビキニ環礁で実施した水爆実験は、広島に投下された原爆の約千倍(15メガトン)の威力で、静岡県焼津市の漁船「第五福竜丸」乗組員が被ばくした。

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