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がん対策を加速 厚労省がプランまとめる

2015.12.25

 厚生労働省は25日までに、長く日本人の死因の第1位になっているがんによる死亡数を減らすための「がん対策加速化プラン」をまとめた。市町村で実施されるがん検診受診率の公表や、精密検査受診率の目標値設定のほか、受動喫煙防止対策強化などを盛り込んだ。

 「がん対策加速化プラン」は冒頭、「2007年4月に施行された『がん対策基本法』に基づく『がん対策推進基本計画』により対策を進めてきた。対策の進捗(しんちょく)はみられるものの、2017年度までの目標とした『75歳未満のがん死亡率を20%減少させる』ことはこのままでは難しい」とし、その原因としてがん検診の受診率向上やたばこ対策が遅れている実態を挙げた。

 その上で、「避けられるがんを防ぐ」(予防)「がん死亡率の減少」(治療、研究)「がんと共に生きることを可能にする社会の構築」(がんとの共生)の三つを柱としてがん対策を加速する、とした。

 具体的な項目として、「市町村で実施されるがん検診の受診率だけでなく精密検査受診率にも目標値を設定する」「市町村ごとのがん検診受診率や受診率向上に向けた取り組みなどを公表する」「職場ごとにがん検診のガイドラインを早急に策定する」「がん治療研究のためのゲノム(全遺伝情報)医療の国内外実態調査を実施する」「患者が医療機関情報を検索し比較できるシステムを構築する」「がん罹患により患者が辞職したり解雇されないよう企業向けのガイドラインをつくる」ことなどを盛り込んだ。

 このほか、がん予防を進める上で喫煙対策は不可避との考え方から、「2019年のラグビー・ワールドカップや20年の東京五輪・パラリンピック開催までに受動喫煙の防止対策を強化する」「(厚労省として)たばこ税の税率引き上げを継続して要望する」ことも目標に加えた。たばこ税については「がん対策推進協議会」による原案提言で「たばこ税の税率を引き上げる」と明示されていたが、最終的に「継続して要望する」という表現に修正された。

 日本のがん対策は、1984年以降10年ごとに対策戦略を改訂。「がん対策基本法」施行後は「がん対策推進基本計画」を定めて多様な対策を実施してきた。しかし、がんの死亡率が計画通り下がらない現状を受け、ことし6月に厚労省が「がんサミット」を開催。対策を加速するプラン作成を決め「がん対策推進協議会」などで内容を検討してきた。

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