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名称は拘束力ある「パリ協定」交渉難航のCOP21で議長国が最終案を提示

2015.12.10

 パリで開かれている国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で9日、議長国フランスが最終合意案を提示した。地球温暖化対策の新しい枠組みの名称を法的拘束力がある「パリ協定」 と提案した。しかし温室効果ガスの長期的排出削減目標や、先進国と発展途上国との間に対策や取り組み方にどう差をつけるかの「差異化」の問題などについては依然複数の選択肢が残っている。「地球と人類の未来を決める」と言われた重要な国際会議は11日の最終日が迫る中で激しいやり取りが続いている。

 最終合意案は、5日に採択された事務レベル作業部会案と同じ26項目だが43ページから29ページに短縮された。国際的な枠組みの名称は、法的拘束力の有無や程度を表し極めて重要だが、最終合意案は名称を「パリ協定」(Convention)とした。「Treaty」などよりは拘束力は弱く、京都議定書のように目標達成は義務化されない。それでも「協定」との位置付けには反対論が出ている、という。

 最重要項目である温室効果ガスの長期的排出削減目標については、「2050年までに10年比で40~70%削減」「同70~95%削減」とする具体的な数値を盛り込んだ案や、「脱炭素化を目指し50年以降に排出量ゼロ」「同今世紀末までに排出量ゼロ」という表現の案も含めて複数の選択肢が残された。また「差異化」の問題については、「発展途上国は先進国の支援に応じて削減努力する」「全ての国が総量削減目標を持つことを目指す」という二つの表現の選択肢が残っている。このほか、新たな枠組みの目的とする気温上昇抑制温度については、これまでの国際目標の「産業革命前から2度未満」に加えて、島国など一部の途上国が主張していた「同1.5度未満」の2案が議論されている。

 一方、作業部会段階でほぼ合意に達していた、5年ごとに各国別排出削減目標を見直すことは最終合意することが確定的になった。

会議最終局面で議論されるポイントは次の通り。

  • 合意文書を法的拘束力のある「パリ協定」とする。発効要件は複数案について
  • 長期的排出削減目標は「2050年までに10年比で40~70%削減」「同 70~95%削減」「脱炭素化を目指し50年以降に排出量ゼロ」「同今世紀末までに排出量ゼロ」の 複数案について
  • 差異化」は「発展途上国は先進国の支援に応じて削減努力する」「全ての国が総量削減目標を持つことを目指す」の2案について
  • 気温上昇抑制温度の国際目標は「産業革命前から2度未満」「産業革命前から1.5度未満」の2案について

最終合意に盛り込まれることがほぼ確定したポイントは次の通り。

  • 地球温暖化対策を世界で進めるために国際的な長期的排出削減目標を盛り込む
  • 国別排出削減目標を5年ごとに見直す。見直し作業を点検する仕組みをつくる
  • 先進国は発展途上国に対し、温暖化対策資金として2020年までに官民合わせて年1,000億ドルを支援する

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