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アンモニア燃料電池で最大規模の発電

2015.07.23

 京都大学と株式会社ノリタケカンパニーリミテド、三井化学株式会社、株式会社トクヤマの共同研究チームが、アンモニアを燃料とする燃料電池で世界最大規模の発電に成功した、と22日発表した。

 水素を燃料とする燃料電池車が既に商品として登場しているように、次世代の有力エネルギー源として水素に対する期待はますます高まっている。水素利用を広げるための課題の一つとされているのが、エネルギーキャリアの開発。輸送と貯蔵が難しい水素の難点を克服するため、水素を別の媒体(エネルギーキャリア)に変えて輸送や貯蔵を容易にしたいためだ。

 アンモニアは、エネルギーキャリアの有力候補。燃料として発電しても主に水と窒素しか排出しない上に、水素より液体にしやすく輸送法も確立している利点を持つ。京都大学大学院工学研究科の江口浩一教授を中心とする研究チームは、アンモニアの漏出を防ぐ特殊なガラスを開発し、配管部の腐食を抑えるなどアンモニアに適応した固体酸化物形燃料電池の集合体を作り上げた。この燃料電池はアンモニアを燃料として直接供給することができ、水素を燃料とした場合と同等レベルの良好な発電特性を持つことを確認した。200ワット級の発電能力は、アンモニアを燃料とした固体酸化物形燃料電池で世界最大規模という。

 水素は、いろいろな原料から製造できることに加え、燃焼しても温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を排出しない長所を持つ。総合科学技術・イノベーション会議が主導する府省横断型プロジェクトとして昨年度からスタートした「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」でも、「エネルギーキャリア」は10課題の一つに採択されている。江口教授は、「エネルギーキャリア」の中の研究開発テーマの一つ「アンモニア燃料電池」の研究代表者を務める。

 今回の成果について研究チームは「アンモニアのエネルギー利用技術の大きな進展。今後、家庭で使用できる出力1キロワット級の実証実験を行う」と言っている。

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