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沿岸部住民に高い抑うつ傾向 東日本大震災の影響コホート調査で裏付け

2015.06.12

 東日本大震災による影響とみられる抑うつ症状が見られた住民は内陸部より沿岸部に多いことが、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の宮城県民を対象にしたコホート調査で明らかになった。

 同機構は、2013年5 月から宮城県に住む人々を対象に地域住民コホート調査を実施している。コホート調査は、特定の人々の集団を長期にわたって追跡し、環境要因や遺伝的要因と病気との関係を解明することを目的としている。10日結果が公表された今回の調査は、2013年度に宮城県内の自治体が実施する特定健診会場を訪れた人々に対し、調査票と質問に答えてもらう形で行われた。

 有効な回答が得られた7,285 人のうち 28%の住民に抑うつ傾向が見られ、内陸部(涌谷町、大崎市、丸森町)に比べ、沿岸部(気仙沼市、南三陸町、石巻市、東松島市、七ヶ浜町、多賀城市、山元町)住民の方が、1.4倍有病率が高いことが分かった。

 また、東日本大震災を思い出すことによる苦痛で生活に支障、または影響が出ている心的外傷後ストレス反応(PTSR)の疑いがある人が 4%に上った。こちらも沿岸部の方が内陸部より2.4倍多いことも明らかになった。

 同機構は、今回の調査結果から、沿岸部で精神的なサポートがより重要であることが裏付けられた、としている。

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