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高レベル放射性廃棄物最終処分の基本方針改定

2015.05.22

 高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の改定が、22日の閣議で決まった。閣議後の記者会見で、加藤勝信(かとう かつのぶ)官房副長官は、「国が前面に立って取り組む方針だ。国民と地域の理解を得つつ一歩ずつ着実に進める」と語った。

 改定された基本方針は「現世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、その対策を確実に進める」ことを明記している。また「事業の実現が社会全体の利益であるとの認識に基づき、その実現に貢献する地域に対し、敬意や感謝の念を持つとともに、社会として適切に利益を還元していく必要があるとの認識が、広く国民に共有されることが重要である」など、国民の理解を重視する記述が盛り込まれた。

 高レベル放射性廃棄物は、300メートルより深い地下に埋め、人間の活動範囲から完全に隔離する地層処分とすることが早くから決まっている。ただ、一挙にこの処分方式をとるのはリスクが大きすぎるとの理由から、いったん人間の監視下に置く「暫定保管」という方策が前段階として必要だとする提言を、日本学術会議が2度にわたって公表している(2015年4月30日レビュー「高レベル放射性廃棄物の暫定保管を学術会議再び提言」参照)。

 改訂された基本方針は、「基本的に最終処分に関する政策や最終処分事業の可逆性を担保することとし、今後より良い処分方法が実用化された場合などに将来世代が最良の処分方法を選択できるようにする」と、日本学術会議の提言を考慮したと思われる文言が盛り込まれた。地層処分事業を担う原子力発電環境整備機構が、「最終処分施設に搬入された後においても、安全な管理が合理的に継続される範囲内で、最終処分施設の閉鎖までの間の廃棄物の搬出の可能性(回収可能性)を確保する」ことも明記されている。

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