ニュース

原子力25%超の電源構成経団連が提言

2015.04.07

 一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が6日、「新たなエネルギーミックスの策定に向けて」と題する提言を公表し、2030年に原子力の比率を25%超とする電源の組み合わせを求めている。

 2011年3月の東京電力福島第一原発事故の影響で、現在、日本の原発はすべて運転停止の状態が続く。経団連の提言は、原子力を引き続き主要なエネルギー源として利用すべきだという産業界の意思を明確に示す内容となっている。

 提言は、「再生可能エネルギー比率20%程度を掲げて取り組む必要がある」「産業界としても省エネ技術の開発・普及に最大限取り組んでいく」「成果を海外に普及させることを通じ、エネルギー安全保障、地球温暖化問題といった地球規模の課題の解決に貢献するとともに、新たな市場を開拓することが可能となる」など再生エネルギーと省エネルギーの重要性と、産業界として積極的に取り組む意欲も強調している。

 また、再生エネルギーが「地域活性化や地域の安心・安全確保にも資する」役割を持つことも認め、「小規模木質バイオマス発電や小水力発電等の有効活用により、エネルギーの地産地消を推進すべきである」とした。

 他方、「過大な省エネ効果を見込んだ非現実的なエネルギー需要を想定することは、企業などに対する過剰な省エネ投資負担や生産抑制を強いることとなりかねない」とくぎを刺している。「現状のまま再生可能エネルギーの導入を進めれば国民負担が極めて大きくなる」として、「エネルギーミックスの策定において、エネルギー基本計画に記載された目標の見直しも検討すべきである」と提言している。

 結局、「低廉で安定的に発電できる」ベースロード電源として、原子力、石炭、地熱、水力で全体の62%超(原子力:25%超、石炭:27%、地熱・水力:10%)をまかなう電源構成を2030年の望ましい姿とした。再生エネルギーは、ベースロード電源に位置づけた地熱・水力も含めて15%程度としている。石油、天然ガスの重要性も指摘し、石炭を含めた火力の電源比率を60%程度とした。

 経団連提言の基になったのは、3月に発表された公益財団法人地球環境産業技術研究機構による分析結果。ベースロード電源比率は、原子力発電の運転停止で現在、40%までに低下している。この比率を現状維持、50%ないし60%に引き上げた場合に分けて、それぞれの電源構成、一次エネルギー供給、エネルギーシステムコスト、国内総生産(GDP)への影響、 電気代の見通しを推計した。ベースロード電源比率を現状より上げるほどエネルギーシステムコストは低下し、GDPを引き上げるという結果が示された。

 またベースロード電源を60%に引き上げた場合、温室効果ガスの削減効果も推計している。原子力の比率を20%とした場合、2030年の温室効果ガス排出量は2005年比で 10%減程度。排出量を2005年比で15%減程度に近づけるためには、原子力の比率を 25%程度とする必要がある、としている。

関連記事

ページトップへ