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地球の環境に似た惑星は太陽質量星の周りか

掲載日:2015年2月20日

宇宙のどこかに生命はいるのだろうか。地球に似た環境の惑星は、観測で現在注目されている低質量星の周りでなく、やはり太陽くらいの質量の恒星に多く存在する可能性が高いことを、東京工業大学地球生命研究所の井田茂(いだ しげる)教授と中国・清華大学のフェン・チアン教授がコンピューターのシミュレーションで示した。「地球のような惑星を探すならば、太陽型星で探したほうがよい」と提言している。2月16日付の英科学誌ネイチャージオサイエンスのオンライン版に発表した。

生命が住める惑星(ハビタブル惑星)の探索は、現在、太陽質量の半分以下の質量のM型矮星と呼ばれる恒星に対して集中して行われようとしている。これらの恒星は銀河系恒星の7、8割を占めており、太陽と同程度の質量のG型矮星に比べて、液体の水が表面に存在するのに温度が高すぎず、低すぎない惑星軌道範囲(ハビタブルゾーン)にある惑星を観測しやすいからだ。しかし、今回のシミュレーションは、地球のような環境の惑星を探すにはM型矮星は適していないことを示した。

惑星に地球生命のような生命体が住むには、ハビタブルゾーンに入っていることが必要になる。さらに近年の研究で、海と陸の比が地球に近い必要性も指摘され、地球の場合の含水量程度(重量で0.01%程度)からあまりずれてはいけないとみられている。重量で1%を超えるような水を持つ惑星は陸がない「海惑星」となり、気候が安定せず、栄養素の海への供給も制限されてしまう。一方、金星のように水が欠乏した「砂漠惑星」では、生命は住めない。

太陽と同じくらいの質量の恒星であるG型矮星は、誕生してからの初期段階で、ほとんど明るさが変わらないが、質量が太陽より小さいM型矮星では、その初期段階で明るさが1ケタ以上も減少する。M型矮星を回るハビタブルゾーン惑星のうち、地球と同程度の水を持っている惑星は、明るすぎる初期段階で海が干上がってしまう。また、地球よりずっと水が多い海惑星はその大量の水を保持し続けると考えられる。

研究グループは、中心星が太陽質量の0.3、0.5、1.0倍の質量の場合に惑星分布をシミュレーションし、中心星の明るさの変化を考慮して、水の蒸発過程を見積もった。太陽質量の0.3倍の恒星1000個について計算したところ、6万9000個の惑星が得られ、そのうち5000個は地球質量に近く、55個はハビタブルゾーンに入っていた。しかし、その55個のうち31個は海惑星で、23個は砂漠惑星で、地球と同じような含水量の惑星はたった1個しかなかった。太陽質量の0.5の恒星1000個では、7万5000個の惑星が得られ、9000個は地球質量に近く、292個はハビタブルゾーンに入っていた。そのうち、地球と同じような含水量の惑星は12個だった。太陽質量の恒星1000個の場合は、3万8000個の惑星が得られ、8000個が地球質量に近く、407個はハビタブルゾーンに入り、その91個は海惑星、45個は砂漠惑星で、大半の271個は地球と同じような含水量だった。地球質量程度で地球くらいの含水量を持つ惑星の数は、太陽質量程度のG型矮星に比べて、太陽質量の0.5、0.3のM型矮星の周りでは1/10~1/100以下しかなかった。

井田茂教授は「詳細な数にあまり意味はないが、地球と同じような含水量を持つ、ハビタブルゾーンにある惑星の割合は、太陽質量の恒星に比べて小質量の恒星の周りでは極めて少ないことはいえる。惑星内部(たとえばマントル)にどれくらいの水が取り込まれ得るのか、どれくらいの量が後から表面に出てくるのかを調べることは今後の研究課題だ。また、地球とは似ていないが、地球の生命とはまったく異なる仕組みの生命体が住む惑星が、M型矮星の惑星系にある可能性はこのシミュレーションで排除されない」と指摘している。

恒星の周りにできる惑星のシミュレーション結果。地球質量程度の惑星の含水量を軌道半径の関数としてプロット。惑星形成も始まってから約9000万年後の時点の惑星のデータ。1点1点が惑星1個1個を示し、1000個の恒星で作られた惑星を重ねてある。左列はそれぞれ、中心星質量が太陽の0.3倍(上段)、0.5倍(中段)、1倍(下段)の場合の結果。右列は中心星の明るさの変化と水の蒸発の効果を入れた結果。ハビタブルゾーンを青緑の影で示してある。
図. 恒星の周りにできる惑星のシミュレーション結果。地球質量程度の惑星の含水量を軌道半径の関数としてプロット。惑星形成も始まってから約9000万年後の時点の惑星のデータ。1点1点が惑星1個1個を示し、1000個の恒星で作られた惑星を重ねてある。左列はそれぞれ、中心星質量が太陽の0.3倍(上段)、0.5倍(中段)、1倍(下段)の場合の結果。右列は中心星の明るさの変化と水の蒸発の効果を入れた結果。ハビタブルゾーンを青緑の影で示してある。
(提供:井田茂・東京工業大学教授)
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