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ゴビの謎『恐ろしい手』恐竜の姿わかった

掲載日:2014年10月27日

モンゴルのゴビ砂漠で1965年に、約7000万年前の中生代白亜紀末の地層で恐竜の巨大な腕(2.4m)の骨格化石が見つかり、70年に「デイノケイルス」(「恐ろしい手」という意味)と名付けられたが、腕と肩の骨、わずかな体の骨しか見つからず、謎の恐竜だった。この恐竜の全貌が2006~10年に発掘した化石の研究でついにわかった。北海道大学とモンゴル、韓国、カナダ、ベルギーなどの国際チームが10月23日の英科学誌ネイチャーのオンライン版で発表した。

国際チームは65年の発掘現場近くで、06年に体がやや小さく、若いデイノケイルス、09年におとなの胴体を発見した。この発掘とは別に、頭や手、足の骨化石が日本に密輸されて、最終的に欧州に渡り、現在はモンゴルに返還されている。この化石は、09年に採集した骨と一致し、パズルのように同一個体であることも確かめた。

今回の研究で、謎の恐竜デイノケイルスの姿が浮かび上がった。デイノケイルスは全長11m、体重6.4トンと推定される。分類系統的には、獣脚類のオルニトミモサウルス類に属する。体がきゃしゃで足の速いオルニトミモサウルス類(最大6m)から、デイノケイルスはがっしりした体へ不思議な進化をたどったことがわかった。

デイノケイルスは軽くなった体を走ることに使わず、巨大化に利用し、ゆっくり動く恐竜へと進化した。肉食恐竜のような鋭いかぎ爪、植物食恐竜のようなくちばし、前後に長い顔をして大きな下あごを持つ。背中にある帆は飾りとして使われたらしい。おなかの中には魚の骨も含まれていた。長い腕で植物や魚を集めて食べる雑食性だったとみられている。

研究チームの北海道大学総合博物館の小林快次(こばやし よしつぐ)准教授は「先端が丸みを帯びた足の爪は湿地を歩くのに適している。さまざまな恐竜の特徴を併せ持ち、非常に珍しい。異様な恐竜だ」と話している。研究者泣かせが盗掘である。小林准教授は「モンゴルで盗掘は後を絶たない。残念ながら、日本にも密輸され、違法に販売されている。売る方だけでなく、買う方にも責任がある」と警告している。

デイノケイルス(全ての標本)の産地(赤丸)
地図. デイノケイルス(全ての標本)の産地(赤丸)

2009年に発見されたデイノケイルスの産地
写真. 2009年に発見されたデイノケイルスの産地

aは2009 年に発見されたものと欧州からモンゴルへ返還された標本。bは2006年の亜成体の標本。cは2体を基にした復元。スケールは1m。
図. aは2009 年に発見されたものと欧州からモンゴルへ返還された標本。bは2006年の亜成体の標本。cは2体を基にした復元。スケールは1m。
(いずれも提供:北海道大学)
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